出口:バブルの頃、日本のGDP(購売力平価)の世界シェアは8.9%だったのが、今は4.5%と半減しています。世界一の経済大国・米国と2位の日本の同盟だったからこそ価値があったわけで、提携相手が半分の規模になったら価値は失われます。もう一つは、冷戦時代、日本は対ソ連・中国で不沈空母としての役割を果たしていたのが、冷戦が終結して役割を終えたことです。
半藤:ところが、米国から見て日本の価値が下がっていると意識している日本人は少ないですね。
出口:おっしゃる通りです。もし日米同盟を堅持したいのなら、国を動かす中枢の人々との人間関係が非常に重要です。しかし、日本から米国への留学者はかつて4万~5万人だったのが、今は2万人を切っています。一方中国から米国への留学者は、3万人程度だったのが、今は23万人にまで増えている。日本より中国のほうが、米国と仲がいいのではないかと思えるほどです。
半藤:すごい数ですね。
●でぐち・はるあき/1948年、三重県生まれ。京都大学法学部を卒業後、日本生命に入社。現在はライフネット生命保険代表取締役会長兼CEO。著書は『「全世界史」講義』I、II『生命保険入門 新版』『直球勝負の会社』など多数。
●はんどう・かずとし/1930年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。文藝春秋に入社し、「週刊文春」「文藝春秋」編集長、専務取締役などを経て作家に。著書に『日本のいちばん長い日』『ノモンハンの夏』『昭和史』『日露戦争史』シリーズなど多数。
※週刊ポスト2016年8月12日号