「腫瘍にオキシドールを注入すると酸素が満たされ、放射線治療の効き目が高まりました。しかし、この施術は患者が激痛に見舞われる上、オキシドールは短時間で拡散します。そこで、しわ取りなど美容に使われるヒアルロン酸を混ぜて注入したところ、オキシドールが患部にとどまり、痛みが和らいで効果が持続することがわかったのです。患者の大半は乳がんですが、肝臓や腎臓などのがんでも利用されています」

 2006年から国内で臨床試験が始まり、これまで500例以上が実施された。現在、医療保険適用を目指し治験を繰り返しているが、100例以上の乳がん患者を治療した施設では、全症例で手術をしなくてもがんの局所制御ができたという。

「全身がん」を宣言した樹木希林(73才)や、本誌でがん闘病を報じた元横綱・千代の富士の九重親方(61才)が利用し、注目されているのが放射線の「四次元ピンポイント照射」だ。

 X線や重粒子線などを照射してがん細胞を死滅させる放射線治療では、がん細胞の周辺にある正常な細胞まで攻撃してしまい、体に悪影響を与えるケースが心配される。どうやってピンポイントでがん細胞を攻撃するかが長年の課題だった。

 この宿命的な問題をクリアしたのが、「四次元ピンポイント照射」である。

「これまでの三次元に“時間軸”を加え、呼吸によるズレに合わせて角度を少しずつ変えて放射線を当てるため、がん細胞を正確に狙い撃ちできます」(医療ジャーナリストの藤野邦夫さん)

 現在は限られた病院などでしかこの療法を受けることはできない。

※女性セブン2016年8月11日号

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