国際情報

英国メイ新首相 中国製原発導入に慎重姿勢

英国は中国製の原子炉プロジェクトに慎重姿勢

 中国が初めて西側諸国から受注した英国での原子炉プラント建設プロジェクトがご破産になりそうだ。習近平国家主席が昨年10月、英国を公式訪問し、当時のキャメロン首相と合意したものの、メイ新首相が原子炉プロジェクトの最終合意について、「急ぐべきではない。もっと慎重に時間をかけて再審査するべきだ」と宣言したのだ。

 これについて、英国のネット上では「中国製原子炉の安全性は実証されていない。当然の判断だ」や「朗報だ。これで英国が放射能汚染から救われる」との辛辣な書き込みがみられる。

 原子炉は英サマセット地区のヒンクレーに建設予定で、中国側に支払うのは総額18億ポンド(2700億円前後)。

 習氏が英国滞在中に両国間で調印されたが、キャメロン前政権は極めて親中的で、さらにオズボーン財務相が大の親中派だったことも調印の大きな理由とみられる。

 英国はキャメロン首相とオズボーン財務相の二人三脚で、日米両国などが反対していた中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への加入を決めたことで、他の欧州諸国が雪崩を打ってAIIBに加入した経緯がある。

 このため、英メディアは中国製原子炉の導入について、「極めて政治的な決定であり、原子炉の安全性も確認されていない」や、「原子炉内のコンピューターシステムは中国側が意図的に操作できるように作られている、と英国内の安全保障問題専門家は懸念している」などと極めて懐疑的に報道していた。

 ところが、英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票で、キャメロン政権の意に反して、離脱派が多数を占めたことから、キャメロン首相が辞任し、メイ氏が新首相に就任したことで、形勢は一転。メイ首相は7月末、調印式の数時間前というタイミングで、ヒンクレーの原発新設計画について最終決定を遅らせる方針を明らかにしたのだった。

 これについて、ネット上では「事故が起きたら、ヨーロッパ全体が大きな被害にあうところだった。グッドニュースだ」などとの書き込みがみられている。

関連キーワード

トピックス

全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる
JR東日本はクマとの衝突で71件の輸送障害 保線作業員はクマ撃退スプレーを携行、出没状況を踏まえて忌避剤を散布 貨物列車と衝突すれば首都圏の生活に大きな影響出るか
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
(写真/イメージマート)
《全国で被害多発》クマ騒動とコロナ騒動の共通点 “新しい恐怖”にどう立ち向かえばいいのか【石原壮一郎氏が解説】
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
ことし“冬眠しないクマ”は増えるのか? 熊研究の権威・坪田敏男教授が語る“リアルなクマ分析”「エサが足りずイライラ状態になっている」
NEWSポストセブン
“ポケットイン”で話題になった劉勁松アジア局長(時事通信フォト)
“両手ポケットイン”中国外交官が「ニコニコ笑顔」で「握手のため自ら手を差し伸べた」“意外な相手”とは【日中局長会議の動画がアジアで波紋】
NEWSポストセブン
11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン