「根管治療は歯の神経を取るなりして、神経がダメになったところを綺麗にするという話。根管治療ができる歯なら絶対に抜かない。ノリで歯を抜いちゃうなんて、患者さんが納得しない。実際に困った歯医者はいるが、少ないと思う。大半の歯医者はプライドがあります。

 確かに一部の歯科医には、絶対こいつは儲けを中心にインプラントを考えているんだろう、というのはあります。私は、某インプラント研究所というところに勤務した経験がありますが、そこも相当ひどかった。それでも僕は患者を家族と同じだと思って治療しているから、必要もない抜歯をするなど考えられません」

 一方、長崎氏は講習会に参加しただけでインプラントを行なうことに理解を示した。

「お金がほしい、経験を積みたい、患者を助けてあげたいという気持ちが合わさって、自分の技量を超えるものに手を出してしまう歯科医はいると思います。

 それに、どこかで踏み出さないと歯科医として成長しない。大学とか大手のクリニックなら上の先生がついてくれるが、開業して独立すると、誰も教えてくれないし、注意もしてくれません。

 インターネットや電話で他の歯科医に相談したり、本を読んで講習会に行って、自分もできるかもしれないとなれば、難しいことにトライする。だから講習を受けただけでインプラントに挑戦する歯科医を、非難する気にはなれません。私自身は様々なリスク等を考えて、インプラントは止めました」(長崎氏)

※週刊ポスト2016年8月19・26日号

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