この夏の甲子園では、練習に女子マネージャーが参加して制止された問題が大きな話題となったが、甲子園に届かなかった地方大会にはプロ顔負けスイングの「JK神ノッカー」がいた。
それが福井県立羽水高校3年の古市琴美さん(県予選1回戦敗退)だ。7歳から始めた野球への情熱は誰にも負けない。この夏一番注目を浴びた女子高生の一人だ。
マネージャーの彼女がノッカーとしてデビューしたのは1年秋の地区大会のことだ。「ノッカーが女子?」と会場がざわめき、試合に出るくらいの緊張感だったという。
「7分のノック時間を考え、選手に多くの球を受けさせるため、いつも早めのテンポを意識していました」(古市さん)
最後の夏は規定変更でノックは打てずに記録員としてベンチ入り。「ベンチの中で、仲間と同じ空間で戦えたことが、最高の思い出です」(古市さん)という。91cm・510gのカーボン製ノックバットは、青春の1ページとして大切に部屋に飾ってある。
八力昌輝監督も認める努力家。自宅での素振りは欠かさなかった。成績も優秀で進学希望。「将来はプレーヤーに戻りたいです」と爽やかに笑った。
撮影■藤岡雅樹 取材・文■古内義明
※週刊ポスト2016年9月2日号