同程度の結果が得られるならば、体の負担がより小さい医療が望ましく、当院は腹腔鏡や子宮鏡を利用した“傷の小さな手術”を推奨しています。さらに子宮摘出手術に代えて、マイクロ波を使用する切らない治療を選択できる場合もあります」(金岡さん)
妊娠を望む女性ならば子宮機能を残す必要があり、子宮全摘出に踏み切れるかどうかという難問がある。
「最初から子宮を全摘出すれば再発や悪化の恐れはありませんが、子供がほしいから子宮全摘術に代えて患部のみの除去を選ぶかたもいます。目的を達成するためにリスクを取るかたもいるわけです。
しかし、全摘出を5~6年待つ間に再発するかたもいます。排卵を一時停止させて筋腫の薬物治療をしている間は妊娠できません」(金岡さん)
妊娠を望む女性は、以下のような婦人科の手術のリスクを知っておきたい。
「薬物治療が困難な子宮腺筋症で、子宮機能を温存するために腺筋症切除手術を行うと、妊娠分娩時に子宮破裂が発生する頻度が10%程度あります。卵巣子宮内膜症性のう胞(チョコレートのう胞)を手術で切除する場合は、正常な卵巣組織にダメージを与えることがあります。こうしたリスクは手術前に医師から説明があります。妊娠を希望する女性は、それらのリスクを承知した上で手術を受けることが大事です」(金岡さん)
子宮筋腫、子宮腺筋症などによる月経過多や月経痛、貧血など閉経するまでの一過性の症状でも、手術に踏み切った方がよいケースもある。
「たとえ一過性の症状でも、それが続くと仕事や生活に支障が出るケースがあります。出血が多くて白い服が着られないとか、貧血で立てなくなるなど、切実な問題を抱える女性は多いんです。
さらに、30代や40代の仕事のキャリア形成時期に婦人科の疾患で適切に活動できなかったら、女性の人生にとって大きな損失になります。躊躇しているよりも、早く治療して、100%の能力を発揮する方が有益となるケースもあります」(金岡さん)
※女性セブン2016年9月1日号