イソ弁A:そうやって顧客に気に入られた縁で、企業の顧問契約でも取れれば御の字ですよね。うちのボス弁は20社以上の企業顧問をしています。顧問料が月5万円だとすると、それだけで毎月100万円。どうりで都心の一等地に事務所が建つわけだ。揉めごとの少ない会社の顧問をたくさん持つのが憧れですよね。
即独C:僕たちは一生懸命仕事をしても、ネットに一言悪口を書かれるだけで吹き飛んでしまう。
宅弁B:いまは何でもネットに書かれるから怖いですよね。知り合いの弁護士も、出廷中で電話に出られなかっただけなのに、クライアントから「あの弁護士は電話を無視する」とSNSで拡散されたんですよ。
イソ弁A:私はネットに何て書かれるか怖くて、マンションのご近所さんの法律相談にほぼ毎週末乗っていますよ。「ご近所のよしみでさ、ケチケチしないでよ」っていうんですけど、これ、美容師に「タダで髪を切れ」といってるようなものだと思うんですけどね……。
ボス弁D:人のトラブルが飯の種だから因果な商売だよ。先日、弁護士を目指しているという学生から相談されたときも「悪いことはいわないから弁護士はやめとけ」ってアドバイスした。
即独C:弁護士は破産したら続けられないし、交通事故で運悪く相手を怪我させてしまって資格を剥奪されることもある。割に合わない職業とわかれば、今後、目指す人が減るかもしれませんね。そうすると僕たちの食い扶持は増えて嬉しいですが(笑い)。
イソ弁A:僕らの話、法学部の学生にはとても聞かせられないですね。進むも地獄、引くも地獄のイバラの道ですよ。
※週刊ポスト2016年9月2日号