ライフ

日本医学界の権威が「死ぬまで現役」本を出した理由

 本誌・週刊ポストが2012年1月から4年半続けてきた「死ぬまでSEX」特集。シニアの性に正面から向き合った特集には、各界から多くの賛同、そして少なからぬお叱りを頂いた。そうした議論の広がりは「高齢者のセックス」がタブーとされてきたことの裏返しでもあるのだが、その波はアカデミズムにも波及し、ついに今回、医学界の最高権威が登場するに至った。東大元医学部長による特別レポートである。

「若い頃の私は、セックスは若者の特権であると思っていました。でも実際に60歳を過ぎても、まだまだ自分の中に異性への関心や性欲が存在することに気がついたのです。私が特別なのか、誰もがそうなのか……研究者魂に火がつき、真剣に調べてみたいと思ったんです」

 笑顔でそう語るのは、東京大学医学部の学部長を経て、現在は名誉教授の石川隆俊氏(76)だ。長年「DNA修復」や「がんの発生」の研究に取り組んできた、日本医学界の権威である。

 高齢者の性を新たな研究対象に定めた石川氏は、60~90代の男女80人(男40人、女40人)を対象にインタビューを実施。先月、それをまとめた『東大名誉教授の私が「死ぬまでセックス」をすすめる本当の理由』(マキノ出版刊)を上梓した。石川氏が言う。

「週刊ポストの『死ぬまでSEX』をはじめ、最近は高齢者のセックス事情を取り上げるメディアは多いが、大学教授は、週刊誌が扱う性事情などは軽佻浮薄だと批判はしても、真面目に取り組む人は少なかった。しかし、私は今回の調査に基づいて一人でも多くの人に、“セックスは高齢者に生きる力を与えてくれる”ということを、真剣に伝えたかった。それが、この本を書いた理由です」

 石川氏は、その理由についても考察した。人間は美味しいものを食べたり他人から褒められたりすると、脳内で「ドーパミン」という神経伝達物質が分泌され、快感を覚える。この快感を得ようと様々な意欲が生じるため、ドーパミンは“生きる意欲を作る物質”とも呼ばれるが、その分泌量は加齢と共に減少していくという。

「ドーパミンが最も多く分泌される行為がセックスです。だから“もう歳だから”とセックスをやめてしまえば、どんどん生きる意欲が失われる。これこそ私が“死ぬまでセックスをすすめる理由”です。私は中学の同級生だった妻と24歳の時に結婚しましたが、70代半ばになった現在も10日に1回ほどのペースで夫婦生活を続けています」(石川氏)

※週刊ポスト2016年9月16・23日号

関連記事

トピックス

“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
『あんぱん』“豪ちゃん”役の細田佳央太(写真提供/NHK)
『あんぱん』“豪ちゃん”役・細田佳央太が明かす河合優実への絶対的な信頼 「蘭子さんには前を向いて自分の幸せを第一にしてほしい。豪もきっとそう思ったはず」
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
「第65回海外日系人大会」に出席された秋篠宮ご夫妻(2025年9月17日、撮影/小倉雄一郎)
《パールで華やかさも》紀子さま、色とデザインで秋を“演出”するワンピースをお召しに 日系人らとご交流
NEWSポストセブン
立場を利用し犯行を行なっていた(本人Xより)
【未成年アイドルにわいせつ行為】〈メンバーがみんなから愛されてて嬉しい〉芸能プロデューサー・鳥丸寛士容疑者の蛮行「“写真撮影”と偽ってホテルに呼び出し」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(左/共同通信、右/公式サイトより※現在は削除済み)
《“やる気スイッチ”塾でわいせつ行為》「バカ息子です」母親が明かした、3浪、大学中退、27歳で婚約破棄…わいせつ塾講師(45)が味わった“大きな挫折
NEWSポストセブン
池田被告と事故現場
《飲酒運転で19歳の女性受験生が死亡》懲役12年に遺族は「短すぎる…」容疑者男性(35)は「学校で目立つ存在」「BARでマジック披露」父親が語っていた“息子の素顔”
NEWSポストセブン
個別指導塾「スクールIE」の元教室長・石田親一容疑者(公式サイトより※現在は削除済み)
《15歳女子生徒にわいせつ》「普段から仲いいからやっちゃった」「エスカレートした」“やる気スイッチ”塾講師・石田親一容疑者が母親にしていた“トンデモ言い訳”
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
「週刊ポスト」本日発売! 「高市総理を阻止せよ」イカサマ総裁選の裏ほか
NEWSポストセブン