今、世界中の投資のプロが注目しているのが、米国の利上げだ。FRB(米連邦準備制度理事会)のイエレン議長が「9月利上げ」を強く示唆し、その期待が高まっている。株式評論家の植木靖男氏は驚きを隠さない。
「FRBは、利上げの判断を急いでいる。そんな印象を受けますね」
植木氏にそう印象づけたのは、8月26日に米ワイオミング州ジャクソンホールで行なわれたイエレン・FRB議長の講演での発言だ。
「雇用が改善し、(米国は)緩やかな成長が続いていく。追加利上げの条件は整ってきた」
このタイミングで、わざわざ「利上げ」に言及するのは異例のことだという。
「講演の1週間後には、米雇用統計という米国の景気を判断する上で重要な経済指標が発表されるタイミングでした。経済安定をアピールするのは指標の発表後でもいいのに、わざわざ先に言及した。市場関係者の間では、“9月21日(日本時間22日)の追加利上げの地ならしだろう”と受け止められています」(植木氏)
市場関係者が注視する「利上げ」とは、中央銀行(日本でいえば日銀、米国ではFRB)による「政策金利の引き上げ」を指す。
政策金利は中央銀行が一般の銀行に資金を貸し出す際の金利で、乱暴にいえば“政策金利を下げるほど企業がお金を借りやすくなり、景気刺激策になる”と考えられている。日本では今年2月から、日銀がマイナス金利を導入している。