お米に関する新発見や新アイディアを次々と提供するのが、東洋ライス代表取締役社長の雜賀慶二さんだ。たとえば、洗わずに炊ける「無洗米」を最初に発売したのも雑賀さんだ。また、今年7月には東洋ライスが発売した「世界最高米」が文字通りギネス世界記録「世界で最も高額なお米」に認定された。その値段は、なんと1kgで1万1304円だ。最近スーパーなどで5kgのお米は1700円ほどで売られているのでその価格の高さが分かるだろう。
本来、お米は瑞々しさが命。新米ほど尊ばれる。また、精米したてほどおいしく、買う時は精米日を確認する人が多い。ところが、この常識も雑賀さんが覆してしまった。
さかのぼること17年前。1999年12月、雜賀さんはその年に収穫した新米を、独自に開発した食味維持システム「エコ・グリーン・カプセル」に保管。それから4年が過ぎた2003年の暮れ、その年の新米コシヒカリと4年前に保管したお米の食べ比べを、食の専門家らを招いて公開で実施。同時に専門機関にて科学的な検査を行った。
その結果は、なんと4年前の古米が圧倒的な勝利をおさめたのだった。この保管技術が、食味の劣化を防ぐだけではなく、保管中にお米をおいしくさせる効果を持っていたのだ。
この技術を生かして、万が一の凶作や災害に備えられるのはいうまでもなく、よりおいしいお米の普及になる、と雜賀さんは闘志を燃やす。もちろん、日本のお米を世界にも紹介しやすい。
また、現在は最新の精米技術によって開発、販売する金芽米が注目を浴びている。
「金芽米を開発していちばん恩恵を受けているのは私なんです。もともと病弱で、体力には自信がなかったんです。それがね、金芽米の高栄養のおかげでまるで病気知らずでいます」(雑賀さん、以下「」内同)
雜賀さんの普段の食卓も気になるところ。連れ添って60年近くになる夫人は、中学校時代の友人の妹さんだ。