「絵画の鑑定士も“この絵画はどこかおかしい。贋作ではないか”と直感で見抜くことができるといいます。このように、『虫の知らせ』は『無意識の中にある情報から違和感を感じ、それを“不吉なもの”として受け取っている』と解釈できます」(前出・菊池氏)
前出のプライマリヘルスケア研究所の調査でもこんな体験談が報告されている。
「20年以上通っている歯科医院に行ったら、歯科医がいつもと違うように見えて、『亡くなるのでは』と感じた。その2日後に急逝した」
この人は無意識に過去の歯科医の姿と比較して違和感を覚え、体調の変化を察知したのかもしれない。
2012年にはノースウエスタン大学のジュリア・モスブリッジ博士が「人間には大事件の予兆を感じる能力がある」という研究成果を報告している。
被験者をモニターの前に座らせてランダムに恐ろしい映像と普通の映像を流し、脳波や心拍数などを測定した。すると多くの被験者が恐ろしい映像の流れる10秒前に、心拍数の上昇や瞳孔の収縮などの変化を示したという。
この結果からモスブリッジ博士らは、「超能力ではなく、まだ解明できていない人間の持つ自然の法則によるものだろう」と結論づけている。「虫の知らせ」を感じるのも、こうした人間の「感じる能力」によるものかもしれない。
※週刊ポスト2016年9月30日号