国内

がん闘病しながらの生活が好奇の目にさらされるのはなぜか

自らのがんをオープンにしないケースも多いが…

《ブログという手段で 陰に隠れているそんな自分とお別れしようと決めました》

 乳がんの闘病について気持ちを明らかにした小林麻央(34才)。ブログで、最初に感じた違和感から今の病状や気持ちまで、すべてを公表した。しかしその一方で、がんであることを隠して生きる人は多い。

 自分ががんだと知られたくない人がなぜ多いのか。

 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授の勝俣範之さんは、社会の問題点を指摘する。

「日本はオープンに“私はがんです”と言える社会にない。今は2人に1人ががんにかかる時代で、年間85万人がかかっているにもかかわらず、です。

 治療技術も進歩して、がんを完全に治すことは難しくても、治療を続けながらがんと一緒に生きることができる時代になったのに、がんのイメージは30年前の『不治の病』のままなんです」

 ここ20~30年で医学は飛躍的に進歩し、がんの治療を続けながら“共存”し、日常生活を送ることができる時代になった。しかし、「死の病」で、「苦しくてつらい」治療を受けるといったイメージは、拭い切れていない。そういった考えは、職場にも蔓延し、患者の生活に影響を与える。

 実際、厚労省の研究班が行った調査結果では、がんにかかった勤務者の約3割が依願退職に追いこまれたり、解雇されたケースもあることが報告されている。

「最近は副作用の少ない抗がん剤や、吐き気止めなど副作用そのものを抑える薬もあります。治療をしながら仕事を続けることは充分可能ですし、実際、海外出張もこなし、外資系などハードな職場でバリバリ働いているかたもいらっしゃいます。ですが、職場に伝えても理解されないことも多く、まだ、会社に話せるような社会状況ではありません」(勝俣さん)

 国立がん研究センター中央病院アピアランス支援センター長・野澤桂子さんに寄せられる相談で多いのは、職場やご近所に「どうしたら、見た目からバレないか」という内容だ。

関連記事

トピックス

手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
『国宝』に出演する横浜流星(左)と吉沢亮
大ヒット映画『国宝』、劇中の濃密な描写は実在する? 隠し子、名跡継承、借金…もっと面白く楽しむための歌舞伎“元ネタ”事件簿
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
山本アナ
「一石を投じたな…」参政党の“日本人ファースト”に対するTBS・山本恵里伽アナの発言はなぜ炎上したのか【フィフィ氏が指摘】
NEWSポストセブン
今年の夏ドラマは嵐のメンバーの主演作が揃っている
《嵐の夏がやってきた!》相葉雅紀、櫻井翔、松本潤の主演ドラマがスタート ラストスパートと言わんばかりに精力的に活動する嵐のメンバーたち、後輩との絡みも積極的に
女性セブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン