国内

ママ友の車に轢かれた子供の悲しい事故 どう防いでいくべきか

交通事故現場の駐車場の道路脇には花が添えられている

 9月24日午後1時前、時折強く雨が降る肌寒い空気の中、小さな小さな柩が、一軒の家から運び出された。

 亡くなったのはこの家に住む松野祐貴さん(仮名、39才)と妻・光子さん(仮名)の長女・のぞみちゃん(仮名、享年1才9か月)。その3日前の9月21日午後4時15分頃、自宅からわずか400mの場所にある複合施設の駐車場内で、のぞみちゃんは息を引き取った。光子さんの友人、瀬川千香さん(仮名、36才)が運転する車に、光子さんの目の前ではねられて――。

 事故が起きた複合施設のキャッチコピーは“街のげんきの素!”。3階建ての同施設は、市民交流・子供育成・保健衛生・健康づくりの4つのゾーンに分かれており、市の保健所をはじめ、図書館や小さな子供が遊べるプレイホール、温水プールにトレーニングジムなどが完備されている。大人から子供まで楽しめるということもあり、市内でも人の出入りが多い場所のひとつ。220台分の駐車場は満車になることも少なくないという。

 現場となった駐車場近くで自営業を営む地元住民が当日の様子を振り返る。

「救急車が来て、あぁ、事故かぁと思って外を見てみるとすごい人だかりができていて、駆け寄ると、小さな女の子がぐったりとしていてね…。頭の左側から頬にかけて血がベッタリと、あんな小さな顔にこんなに血が出るのかっていうぐらいついていて…でも首から下はきれいなのよ。それであんなに小さな体に3、4人の救急隊員が交代しながら一生懸命心臓マッサージをしているんだけど、女の子はまったく動かなくてね…」

 その日、何が起きたのか。関係者の証言をまとめると次の通りだ。

 21日昼頃、光子さんは、のぞみちゃんとこの春に生まれたばかりの下の赤ちゃんを連れて、瀬川さんが運転する車で出掛けていた。その帰りに光子さんらは複合施設に行く用事があり、瀬川さんはそこまで送っていくことに。「今日はありがとう」と、光子さんが運転席にいる瀬川さんに手を振って、まず車から降りたのはのぞみちゃん。続いて、下の赤ちゃんを抱いた光子さんが車から降りた。

 瀬川さんはふたりが降りたことを確認すると、車を発進させた。その直後、車は前方にいたのぞみちゃんを轢いてしまった――。

 事故から10日以上経つが(取材当時)、現場近くに住んでいる人たちは、あの日のことが忘れられないでいる。

「あんなふうに女の人が髪を振り乱して泣き叫ぶ声は、これまで聞いたことがありませんからね…。“お願い! お願い!! 助けてあげて!!! お願い!! お願いします!!!”って、救急隊員にしがみつきながら泣き叫んでいました。

 その横で、赤ちゃんを抱いたお母さんが呆然と地面に座っていて…。目の前の子供を見ているけど、焦点が全然合ってなくて放心状態。その胸で赤ちゃんがぎゃんぎゃん泣いているんだけど、その赤ちゃんをあやすこともできず、ただただ目の前を見るともなく見ていました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン