ちょうど上空にヘリコプターが飛んでいて、その音も大きいんですけど、それ以上に、女性の“お願い”って声がすごくて、私、もう聞いているのがつらくて、自宅に帰ったんです。でもね、その声が家の中にまで聞こえてくる。“助けてあげて! 助けてあげてください!”って」(近所住民)
そしてのぞみちゃんが救急車に運びこまれた後、今度は光子さんの声がこだました。イヤ!!!――何度も何度も叫ぶその声が、住宅街に響き渡っていたという。
松野さん一家を知る60代女性が言う。
「のぞみちゃんはほっぺたがふっくらとしたかわいい女の子でね、うちの孫と生まれたのが1か月しか違わないんだけど、体の大きな子だったのよ。元気な子でね、下の子に興味津々で、下の子が泣いたらのぞみちゃんも一緒に泣いてみたりしているって言ってました。
松野さんのお宅は、代々の土地に、のぞみちゃんの祖父母の家がもともとあって、その後祐貴さんと光子さんが引っ越してきたんです。かわいいのぞみちゃんと、下の子も生まれて幸せそうな一家だったんですよ。おばあちゃんが“最近は歩けるし行動範囲が広がってきたから、ちゃんと見てあげなくちゃね。本当にかわいいのよ”ってよく話してらした…それが今は…胸が張り裂けそうです…」
前述のとおり事故発生時、加害者はすぐにのぞみちゃんに駆け寄り泣き叫び、被害者は放心状態だった。しかし現場にはすぐに救急車が駆けつけている。取材によると、同施設の職員や目撃者ら複数人が119番通報していた。
また今回本誌の取材で話をしてくれた人たちは、のぞみちゃんを知っている人はもちろん、直接知らない人まで、誰もが自分のことに置き換え、この悲劇に涙し、そして悔やんでいた。
平均寿命が80才を超える今、わずか1年9か月でこの世を去らなければならなかったのぞみちゃん。防げたかもしれない不注意が原因であるとするならば、もう一度すべての人たちが、どうしたら事故を防いでいけるか真剣に考えること――それが、のぞみちゃんへのせめてもの供養ではないだろうか。
※女性セブン2016年10月20日号