国内

チケット転売問題 行けなくなった人のリセール機能が必要

日本はチケット購入のシステムが遅れている?

 日本音楽制作者連盟などの音楽業界4団体が8月23日、嵐やサザンオールスターズ、福山雅治など100組以上のアーティストとFUJI ROCK FESTIVALなど20以上のイベントの賛同を得て、コンサートチケットの高額転売に反対する共同声明をウェブサイトや新聞などで発表した。

 声明では、コンサートのチケットを買い占め、価格を釣り上げて転売する個人や業者により、チケットが本当に欲しいファンの手に渡らないことに強い憤りを感じていると表明。転売サイトで偽造チケットが売られるなどし、犯罪の温床になっていると指摘。また、高額転売によってファンが経済的損失を受け、コンサートを楽しめる回数やグッズ購入の機会が奪われる可能性があるとしている。

 このような声明が出された背景としては、個人間のチケット売買を仲介するウェブサービス『チケットキャンプ』の存在が大きいという。テレビCMなどを打っていたこともあり、安心して利用できるとのイメージがつき、その結果、転売を目的とした“転売屋”がチケットを売りやすい状況となったというのだ。

 今回の声明は、チケットを個人間で売買する二次流通サイトを否定するものではなく、サイトを悪用し、儲けを得ることへの問題提起であるという。チケット高額転売問題に詳しい一般社団法人コンサートプロモーターズ協会総務委員の石川篤さんはこう話す。

「転売屋はもちろん許せませんが、転売目的ではなく、たまたま必要以上にチケットが多く取れた人が、余ったチケットを定価よりも高値で売って利益を得る、という事例が増えています。この声明によってチケットを定価より高値で取引するのはアーティストにとってもファンにとってもよくないことだと認識を改めてもらえればと考えています」

 仕事でコンサートに行けなくなってチケットを譲りたい人や、高いお金を払ってでもよい席でコンサートを楽しみたい人、チケットの販売期間が終了してからコンサートに行きたくなった人などが、二次流通サイトを頼るしかない現状のチケットシステムを変えていく必要がある。

「『チケットキャンプ』などのサイトを利用するユーザーの気持ちは、正直よくわかります。日本は米国などに比べてチケットに関する施策が遅れており、ユーザーの気持ちを汲み取って、よりよいチケット購入のシステムを作るのが急務だと思っています」(石川さん)

 まずはライブに行けなくなってしまった人が、チケットを転売するリセール機能の拡充が必要だ。すでにももいろクローバーZなどのアーティストがファンクラブの会員同士でチケットを定額譲渡するシステムを作ったり、チケットぴあが定額リセールサービスを導入しているが、より多くの人が楽にチケットを再販できる仕組みを整備していく必要がある。

※女性セブン2016年10月27日号

関連記事

トピックス

高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
2025年、第27回参議委員議員選挙で使用した日本維新の会のポスター(時事通信フォト)
《本当に許せません》維新議員の”国保逃れ”疑惑で「日本維新の会」に広がる怒りの声「身を切る改革って自分たちの身じゃなかったってこと」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
《浜松・ガールズバー店員2人刺殺》「『お父さん、すみません』と泣いて土下座して…」被害者・竹内朋香さんの夫が振り返る“両手ナイフ男”の凶行からの壮絶な半年間
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
齋藤元彦・兵庫県知事と、名誉毀損罪で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告(時事通信フォト)
NHK党・立花孝志被告「相次ぐ刑事告訴」でもまだまだ“信奉者”がいるのはなぜ…? 「この世の闇を照らしてくれる」との声も
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
《高田馬場・女性ライバー刺殺》「僕も殺されるんじゃないかと…」最上あいさんの元婚約者が死を乗り越え“山手線1周配信”…推し活で横行する「闇投げ銭」に警鐘
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン