◆中華イージス「西安」登場
主として海軍演習であるため、各種訓練は洋上で行われる。その洋上訓練を前に、“ハーバーフェーズ”と呼ばれる催しがパールハーバー基地内で開かれた。これは出港前の準備運動とも言えるもので、机上訓練の他、スポーツ交歓やレセプションなど、参加国間の信頼関係醸成を目的として行われるものである。
その一つが「オープンシップ」だ。訓練参加国のうち、艦艇を派遣した13か国の出港前に、海軍将兵やメディア、ハワイ市民がそれぞれの艦艇を見学するイベントである。メディアを含めた民間人には艦内の一部立入制限を加える国もあるが、軍人であれば、基本的にどの船を回っても問題ない。
今回、中国は中華イージスとも呼ばれるミサイル駆逐艦「西安」をはじめ、5隻もの艦艇を送り込んだ。米海軍に次ぐ規模で参加した中国は注目を集め、結果、世界中のメディアが中国艦の取材を希望した。
ところが、である。「中国艦の取材者については、中国側が選ぶ」との一方的な通告が行われた。メディア関係者は申請を行い、中国が指定した日を待った。だが、結局もたらされたのは、「米メディア20名だけ受け入れる」という返答だった。
日本からは私のようなフリーランスだけでなく、朝日新聞や読売新聞記者も申請したが全員“落選”。台湾やドイツの記者もはじかれた。中国側の言い訳としては、地元メディアを優先したという。しかしその地元メディア所属であっても取材拒否された記者がいた。彼は国籍が日本にあった。要するに、日本人はすべてはじかれたのだ。
だがこれは序の口であった。中国は、海上自衛隊幹部の見学まで拒否したのだ。これはイベントの目的である海軍間交流を真っ向から否定するとして、米海軍は中国を注意した。
中国の自衛隊への嫌がらせはこれだけではなかった。