護衛艦「ひゅうが」艦内で行われたレセプション(船上パーティ)に、中国側は理由も告げず欠席。そのうえ、「日本から招待されなかった」と日本批判を展開したのだ。これは事実ではなく、海自がきちんと招待したにもかかわらず、中国側が来なかったのが真相である。
中国は初参加した前回も、ある問題行動を起こし、米国の逆鱗に触れた。ひそかに情報収集艦を送り、米国をはじめとした参加国艦艇のスパイ活動を行ったのだ。
もはや中国を国際ルールに従わせるのは無理とあきらめるしかないのか。事実、「リムパック16」開催中の7月、常設仲裁裁判所が示した南シナ海における中国の領有権主張を否定する判決も無視している。
中国の問題行動が目立った「リムパック16」だったが、自衛隊が特筆すべき訓練を行ったことにも触れておきたい。
前回から参加した陸上自衛隊・西部方面普通科連隊に加え、2018年に創設される日本版海兵隊「水陸機動団」要員として選ばれた隊員が参加。その陣容は大きく変わった。より実戦的な島嶼防衛、そして島嶼奪還訓練を中国に見せつけたのだ。
これまでの「リムパック」は、軍事演習に加え、“制服を着た外交官”による社交場という一面があった。
しかし前回から、テーブルの下で蹴り合う状態となってしまった。今回に至っては遂に日中が襟首をつかみ合う寸前の状態となり、米国やその他の国が白い目で中国を見るようになった。
中国という問題児が社交場の雰囲気をがらりと変えてしまったのである。
●きくち・まさゆき/1975年東京都生まれ。フリーの軍事フォトジャーナリストとして、陸海空自衛隊のほか、米軍やNATO軍、アジア各国の軍事情勢を取材。著書多数。
※SAPIO2016年11月号