当時、築地を訪れる観光客は減り、閑古鳥が鳴いていた。その時、築地に人を集めてもらえないかと相談された木村社長はある店を作った。それが2001年に開店した『すしざんまい本店』だ。
「築地にどうすれば人が集まるのか。しかも、築地の魚を売らなくてはならない。そうなると、寿司がいいと。しかし、これまでのお寿司屋さんは定休日や品切れなど、行っても食べられないことがありました。そこで、24時間にしよう、しかも年中無休にしようと。しかも、敷居があってなかなか入りづらかったお寿司屋さんをオープンなガラス張りにして、明朗会計にすることにしたんです」
そんな『すしざんまい』だが、初競りで5年連続マグロを落札してきている。それはなぜなのか、質問をぶつけてみた。
「お客さんにはいつもいちばんいいものを食べていただきたいからです。オープンした時からいちばんいいマグロを買わせてもらってお客さんに出させていただいています。これからもそれは変わりません」
マグロに救われ、マグロに育てられた木村社長の恩返し、といったところか。
【Profile】
きむら・きよし●1952年4月19日生まれ。千葉県出身。中学卒業後、15才で航空自衛隊に入隊するも、交通事故で目を負傷し1974年退官。中央大学法学部在学中に新洋商事に勤務し、1979年、喜代村の前身にあたる木村商店を創業。魚介類の仕入れなど90種もの事業を手掛け、1985年に喜代村を設立。2001年4月、築地場外に日本初の年中無休24時間営業の『すしざんまい本店』を開店。現在、『すしざんまい』は全国64店舗に。
※女性セブン10月27日号