国内

裏口入学のブローカー 親から親へと紹介され首つなぐ

 9月14日、警視庁捜査二課と世田谷署の合同捜査本部は神奈川県横浜市に住む自営業の中野真紀容疑者(54才)を詐欺容疑の疑いで逮捕した。

 被害者は世田谷区在住の会社役員の女性(49才)。被害に遭った時期は2009年11月頃で、被害額は440万円。中野容疑者は、実子が都内の大学附属の私立小学校の入学試験で不合格となった被害女性に対し、“面接の枠が残っています。入学しても金銭的な迷惑をかけるようなことがないと示すためにお金が必要”などと嘘を言い、複数回にわたり被疑者らが管理する預金口座へ現金を振り込ませた。

 知人を使って教師役で電話をさせるなど計画的で悪質な犯行だった。今回の事件は裏口入学を騙った詐欺で、しかも失敗しているため公となったが、世のママ世代が衝撃を受けているのは、お受験戦争という限られた場所で、「もしや…」「やっぱり…」という思いがあるからに他ならない。

 鈴本真美子さん(仮名、41才)は中1、小5、小1の3人の息子の母。元英語学校の講師で保育園の補助のパートをしている。

「下の息子が同じ幼稚園だった男の子の話なんですけど、そこの幼稚園は小学校のお受験に全然熱心じゃなくて、マンモス園でまあ、野放し状態。でも、その子のお父さんは有名大学の教授をしていたんです。で、気づいたらその子、その大学の初等部に入ってて、“あれ、いつ勉強してたの?”っていう(苦笑)。

 日本でいちばんの難関だっていう人もいるくらいの小学校ですよ? もちろん見えないところでちゃんと勉強していたのかもしれないけど、お母さんもお受験ママっていう印象は全然なかったから、“アレ?”って思った。利発ではあったけど、あくまで普通の子供って感じでしたから…」

 今回の事件で中野容疑者と被害者は直接の知り合いではなかったという。つまり“仲介者”がいたということ。こういった裏口入学のブローカーは、10年ほど前まではお受験を取り巻く業界では知る人ぞ知る有名な存在だった。

 著書に『慶應幼稚舎と慶應横浜初等部』がある、幼児教室・小学校受験『アンテナ・プレスクール』の石井至校長が実態を明かす。

「ブローカーはそもそも裏口入学はさせられないです。“太いパイプを持っている”などと嘘をついてお金をだまし取る。でもほとんどの人が恥ずかしいから泣き寝入りして、他人に相談しない。だから裏口入学のブローカーはなかなか捕まらなかったんです。

 裏口入学にまで手を染める保護者は、子供が合格できるためならと、ありとあらゆることをしているんですよ。そういう人は子供が実力で合格してても、“裏口入学ブローカーに頼んだから合格したんだ”と思い込んじゃうんですよね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン