ライフ

地域の名産品 北海道のビールとコンビーフに見る成功の法則

「究極の逸品」に選ばれたコ ンビーフ

「地域おこし」を目的に地元産の材料を使った新しい食品が生み出されることがあるが、失敗も多い。そのなかで今年、北海道で「大当たり」の食品が出た。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が解説する。

 * * *
 長く続く、ご当地グルメイベントなどに象徴されるように、「地域おこし」という言葉はしばしば、「地域の食」とセットで使われる。

 もっとも「地域の食」と言ってもその幅は広い。例えばB級グルメなら、地域で長く親しまれてきた地元の食が全国展開されるパターンもあれば、地域の特産品などを活用した新たな名物の開発に腐心する自治体もある。

 これまで、新たな名物が次々に生み出されてはあっという間に消費されてきた。いや、消費すらされず、誰にも届かないまま放置された名物も少なくなかった。理由は「生産側の都合で開発」され、「的確なPRもされず」、しかも「芽が出る前に頓挫する」などさまざまあったが、ひとつに集約するとすれば「消費者目線の圧倒的な不足」である。

 地域でPRしたいものや助成金ありきで開発が進み、「誰に届けたいか」を精査することなく、テレビなどへの的はずれなアプローチを試みる。そしてすぐに結果が出なければ、すぐ投げ出してしまう。そうした「地域おこし」×「地域の食」という構図のなかで、そうした屍がどれだけあったろうか。

 学術機関の調査でも、いわゆるB級グルメなどによる地域おこしの効果は、時間が経つにつれて減少するという調査結果や、一定の成功をおさめたとされる事例でも他の観光資源への集客減などマイナスの影響が出るケースも確認されている。

 ただし最近、開発された産品のなかには、そうした課題を乗り越えるアイテムも現れはじめた。10月19日、国産農林水産物の消費拡大に寄与した取り組みを表彰する「フード・アクション・ニッポン アワード 2016」の表彰式が行われた。今回コンテスト方式にリニューアルされ、全国1008の産品から「究極の逸品」10産品が選ばれたが、そのなかにも地域資源の活かし方に変化が見えるアイテムがいくつかあった。

 特に今回、受賞に驚かされたのが「旅のはじまりのビール」だった。全国に流通しているわけでもなく、そればかりか普段は帯広の小さなホテル「ホテルヌプカ」で提供されているクラフトビールだ。世に出たのは今年の3月。士幌町での大麦生産(1次産業)、小樽ビールでの製麦&醸造(2次産業)、ホテルヌプカでのクラフトビールの提供(3次産業)という6次産業型の事業モデルで、地産地消型クラフトビールとなる物語が添えられている。

 ストーリーの土台には、オーナーが旅先で触れたポートランドでの体験がある。「旅人と地元の人が集い、そのまわりに最高に楽しくておいしい街がある」という地域ブランディングにもつながるストーリーと周到なスキームで、ホテルヌプカはあっという間に帯広の名所となり、「旅のはじまりのビール」は名物となった。実際、帯広では同ホテル以外への宿泊者もこのビールを求めて、この小さなホテルを訪れる。

関連記事

トピックス

連日お泊まりが報じられた赤西仁と広瀬アリス
《広瀬アリスと交際発覚》赤西仁の隠さないデートに“今は彼に夢中” 交際後にカップルで匂わせ投稿か
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者(本人SNS)のストーカーに悩まされていた岡崎彩咲陽さん(親族提供)
《川崎ストーカー殺人事件》「テーブルに10万円置いていきます」白井秀征容疑者を育んだ“いびつな親子関係”と目撃された“異様な執着心”「バイト先の男性客にもヤキモチ」
NEWSポストセブン
不倫報道のあった永野芽郁
《田中圭との不倫疑惑》永野芽郁のCMが「JCB」公式サイトから姿を消した! スポンサーが懸念する“信頼性への影響”
NEWSポストセブン
騒然とする改札付近と逮捕された戸田佳孝容疑者(時事通信)
《凄惨な現場写真》「電車ドア前から階段まで血溜まりが…」「ホームには中華包丁」東大前切り付け事件の“緊迫の現場”を目撃者が証言
NEWSポストセブン
2013年の教皇選挙のために礼拝堂に集まった枢機卿(Getty Images)
「下馬評の高い枢機卿ほど選ばれない」教皇選挙“コンクラーベ”過去には人気者の足をすくうスキャンダルが続々、進歩派・リベラル派と保守派の対立図式も
週刊ポスト
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《離婚するかも…と田中圭は憔悴した様子》永野芽郁との不倫疑惑に元タレント妻は“もう限界”で堪忍袋の緒が切れた
NEWSポストセブン
成田市のアパートからアマンダさんの痛いが発見された(本人インスタグラムより)
《“日本愛”投稿した翌日に…》ブラジル人女性(30)が成田空港近くのアパートで遺体で発見、近隣住民が目撃していた“度重なる警察沙汰”「よくパトカーが来ていた」
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《スクショがない…》田中圭と永野芽郁、不倫の“決定的証拠”となるはずのLINE画像が公開されない理由
NEWSポストセブン
小室圭さんの“イクメン化”を後押しする職場環境とは…?
《眞子さんのゆったりすぎるコートにマタニティ説浮上》小室圭さんの“イクメン”化待ったなし 勤務先の育休制度は「アメリカでは破格の待遇」
NEWSポストセブン
食物繊維を生かし、健全な腸内環境を保つためには、“とある菌”の存在が必要不可欠であることが明らかになった──
アボカド、ゴボウ、キウイと「◯◯」 “腸活博士”に話を聞いた記者がどっさり買い込んだ理由は…?《食物繊維摂取基準が上がった深いワケ》
NEWSポストセブン
遺体には電気ショックによる骨折、擦り傷などもみられた(Instagramより現在は削除済み)
《ロシア勾留中に死亡》「脳や眼球が摘出されていた」「電気ショックの火傷も…」行方不明のウクライナ女性記者(27)、返還された遺体に“激しい拷問の痕”
NEWSポストセブン