中国のサッカー界は最高指導者の習近平国家主席は無類のサッカー好きで、「中国のW杯優勝」という非現実的な夢をサッカー大国のドイツ訪問時に真顔で語るなど、中国サッカー界にとっては救世主のような存在だ。
習氏の肝いりで、中国国家発展改革委員会(発改委)は今年4月、「中国サッカー中長期発展計画(2016-2050年)」(以下、計画)を発表し、サッカー強化が国家の長期計画に組み入れられ、複数の関連支援策を受けることになった。「計画」は、「第13次5カ年計画(2016-2020年)」期間中に「アジアで一流の、世界的に有名な」サッカークラブを2~3チーム育成し、中国のサッカーブランド確立と世界への影響力拡大を目指すというもの。
現在、中国には体育の授業にサッカーを採用している小中高校が約5000校あるが、具体的に、それを2025年までの10年あまりで10倍の5万校に増やす。また、中国サッカー協会を、スポーツ政策を統轄している国家体育総局から独立させ、権限を強化させることや代表チーム専用のトレーニングセンターを2カ所新設することも盛り込まれている。このプランにかける予算は明らかになっていないが、ばく大な費用がかかるとみられる。
とはいえ、ネット上では「肝心の中国のナショナルチームがこの体たらくでは、いくら予算をかけてもどぶに捨てるようなもの。それを貧困層解消対策に充てた方が効率的だ」との書き込みも見られる。
ちなみに、中国では1日あたり1ドルで暮らす7000万人存在し、1日あたり1~1.25ドルで生活する人々を併せれば、合計で1億人前後の「絶対的貧困層」が存在しているといわれる。