薄暗い地下空間が地下水で水浸しとなった映像は有権者にショックを与え、豊洲移転に黄信号が灯った。その後、地下水からヒ素が発見されたと発表し、都民にさらなる衝撃を与えたのも共産党都議団の調査によるものだった。日本共産党都議団の清水ひで子さんが指摘する。
「この時の調査は、政務活動費を用いて行いました。情報公開で資料を取り寄せて調査をするにはお金がかかります。12兆円もの予算がある東京都がお金を正しく使っているかを、私たち都議が精査してさまざまな提案をするには、政務活動費が絶対に必要です」
このように政務活動費を有効に使えば、不透明な税金の使われ方を正しくチェックできる。だがそのためには、大前提として、政務活動費の使われ方が不透明であってはならないはずだ。そこで多くの識者が口を揃えるのは「情報公開」の重要性だ。北川さんが指摘する。
「政務活動費は公金であり、議員はどこでどう使ったかを徹底して情報公開する必要があります。今の情報公開制度は、きわめて不充分なうえに開示請求にも時間とお金がかかる。議員は公金を使っているという自覚を持ち、請求がなくても1円単位の領収書をインターネットで全額即時公開すべきです。これは、時代の要請でもあります」
名古屋市の河村たかし市長もネットでの公開に大賛成だ。
「名古屋では政務活動費の領収書を情報公開請求しても、名前や宛先は黒塗りにされることが多い。少なくとも政務活動費を請求する議員名は黒塗りせずそのままネットで公開すべき。黒塗りはプライバシーを守るためと言うけど、それは民間人に限られるべきじゃないですか」
確かにネットで領収書を1円単位で完全公開すれば、これまでのようにいい加減な使い方はできないはずだ。北川さんが言うところの「時代の要請」に知事はどう答えるか。
アンケートでは、政務活動費の不正や不適切な支給を防ぐ手段として、「請求がなくとも領収書をホームページなどで公開すべきと考えるか?」と尋ねた。
富山市議会の騒動後、政務活動費の不正や不適切な受給が明らかになった宮城県、山形県、石川県、奈良県の各知事は「どちらとも言えない」とし、「県議会で検討、議論すべき」などと答えたが、富山県の石井隆一知事は、「公開すべきである」と回答して、その理由をこう書いた。
「私は常日頃から、清潔で公正公平な県政を推進すべきと考えており、政務活動費の不正受給は、決してあってはならないことと考えている」
富山県議会は9月26日に「議長への会計帳簿の義務化」「会計帳簿、領収書の写しのホームページでの公開」「第三者機関の常設設置」「議長の権限強化」などの改革案をとりまとめた。実現すれば領収書のネット公開は都道府県では大阪、兵庫、高知につぐ4番目になる。
※女性セブン2016年11月17日号