芸能

映画女優・菜葉菜 「宇宙人みたいな顔も私の個性」

「インディーズの女王」からメジャーへと羽ばたく菜葉菜

 撮影中、容姿が風変わりだと言われなぜか喜ぶ映画女優、菜葉菜(なはな)。

「仕事を始めた頃は容姿にコンプレックスを持ってましたけど、現場を踏むにつれて『菜葉菜ちゃんて不思議な顔だね』と目に留まり、仕事が増えるようになって。たまに『宇宙人みたい』なんて言われますが(笑い)、個性だと認められるようになりました」

 スカウトで芸能界入りした。保育士の道を進んでいたが、園子温監督の『自殺サークル』(2002年)出演で演技に目覚めて、女優の道へ。転機となったのは、映画『コワイ女』(2006年)。3話オムニバスの『鋼』篇で、彼女は頭からズダ袋をかぶった“袋女”を演じた。

「顔も出さずに、足だけでエロスを表現する役柄だったんです。あの時期はちょうど大人のエロスを追求したい全盛期で、“私こそ奥深いエロスを演じられる”と、根拠のない自信に満ちていました。足だけで表現するなんてこれほど役者冥利に尽きる役もないと思えたし、むしろ顔が出ないのがよいのだ、と。袋をかぶり、両手の自由を奪われた状態で立ち回るので記憶が飛ぶほど過酷な撮影でしたが、新しい表現を突き詰めて一皮むけましたね」

 見事な足さばきで、脚フェチのファンも獲得。その後も出演作が途切れることはなく、「インディーズ(映画)の女王」と呼ばれるまでに。さらに今年公開された『64─ロクヨン─』や『後妻業の女』など、近年はメジャー作品にも活動の場を広げている。『64─ロクヨン─』では、「県警が馬鹿呼ばわりされるのは耐えられません」と佐藤浩市演じる広報官に迫る地元記者を好演。同作に続き、来年もまた佐藤との撮影が予定されているという。

「役者としては足りないものがあると自覚しています。今はそこを充填しているところで、バージョンアップした状態でこれまで培ってきたすべてを今作につぎ込みたい。佐藤さんにも、『俺にとっては通過点だけど、菜葉菜には勝負の作品になるな』とガツンと言われ、作品と心中する覚悟です」

 とキッパリ答えた。1本では地味な菜の花が、菜の花畑となって華やかな存在感を放ってほしい──そんな願いが、芸名にこめられている。「まだ3分咲きです」と語る彼女。満開のその時が待ち遠しい。

◆なはな/東京都出身。2005年映画『YUMENO』で初主演し本格的にデビュー。『ヘヴンズ ストーリー』はじめ、多数のインディーズ映画の主演やヒロインを演じる。その稀有な個性と演技力でドラマ等でも大活躍。2016年は『64─ロクヨン─(前、後編)』など4本の映画に出演。2017年は『ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~』『追憶』『狐独』などが公開予定。

撮影■橋本雅司 取材・文■渡部美也

※週刊ポスト2016年11月11日号

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン