投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の11月7日~11月11日の動きを振り返りつつ、11月14日~11月18日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は上昇。注目された米大統領選では民主党のヒラリー・クリントン氏が敗れるなど、波乱の結果となった。共和党のドナルド・トランプ氏勝利により、日経平均は英国のEU離脱(ブレクジット)時を上回る波乱の相場展開となった。ただし、この影響を受けたのはブレクジット時同様、リアルタイムでの日本市場となり、米国市場は一転トランプ政権への期待からNYダウは最高値を更新した。この流れから日経平均は落ち着きをみせ、週末には2月以来、9ヵ月ぶりの高値水準を捉えている。これまでの抵抗レベルを突破したことにより、需給状況は大きく改善した。
トランプ政権に対しては現時点で先行きが見えないところはあるが、政策に対する恩恵を受けるであろうセクターや銘柄への物色。とりわけ、トランプ氏はドッド・フランク法(金融規制改革法)を廃止すると発言している。同法は金融機関のリスクを取る能力を阻害し自由度を奪っているとしており、金融セクターへの物色等が引き続き注目されやすい。また、米国では報道機関のみならず野党も、新政権の最初の100日間は批判や性急な評価を避ける紳士協定がある。市場も緩やかな上昇が見込まれるなか、関連銘柄を探る流れが強まりそうである。節目の18000円を意識したトレンド形成が期待されてくる。
また、今週は17日に安倍首相とトランプ次期大統領との会談が予定されている。日米同盟に対する米国の関与を再確認する方針であり、今月中旬にペルーで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議前にニューヨークを訪れる。APECのついでに立ち寄る格好にみえるが、正式な大統領就任前の会談は異例であり、政策期待が高まりやすいだろう。
その他、経済指標では14日に7-9月期国内総生産(GDP)速報、日銀の黒田総裁が名古屋で講演する。また、10月の中国の工業生産・小売売上高・固定資産投資が発表される。15日には10月の米小売売上高、11月の独ZEW景況感指数、16日に10月の米鉱工業生産、17日に10月の米消費者物価指数、住宅着工件数が発表される。その他、決算は後半戦のヤマ場を超えたが、みずほ<8411>、三菱UFJ<8306>、三井住友<8316>、第一生命HD<8750>など金融セクターの決算が予定されている。トランプ銘柄として市場の関心は高く、決算後の動向が注目される。