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年収100億円運用部長分析 AIの金融参入でどうなるのか

タワー投資顧問運用部長の清原達郎氏

【書評】『人工知能が金融を支配する日』/櫻井豊・著/東洋経済新報社/1600円+税

【著者】櫻井豊(さくらい・ゆたか)/金融市場、金融技術などの専門家。1986年早稲田大学理工学部数学科卒業。東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)、ソニー銀行執行役員などを経て、2010年からリサーチアンドプライシングテクノロジー株式会社取締役。

 自ら学習する能力を身につけ、飛躍的な進化を遂げている人工知能(AI)。従来のように取引の執行だけでなく、意思決定まで行うAIが金融の世界に参入すると、どうなるか?

 本書は、主にアメリカの現状を引きながら、「超高速ロボ・トレーダーが市場を席巻する」「カリスマの相場観、経験、勘に頼ったスタイルは凋落する」などと近未来を予測する。

 最後の公表となった2004年度の高額納税者番付で1位となり、「年収100億円のカリスマ・ファンドマネージャー」と話題になった清原達郎氏(タワー投資顧問運用部長)は、どう考えるか。(インタビュー・文/鈴木洋史)

──清原さんが手掛ける日本株の市場でAIの存在感を感じますか。

清原:いや、感じませんね。結論から言えば、AIが市場に参入しても、うちのようなファンドが脅かされることはまったくないです。

 うちは東証2部や新興市場の割安な小型株を大量に運用しているのですが、銘柄を選ぶ際、いろいろな情報を取ります。その情報がIR(投資家向け広報)資料やマスコミ報道のような文字化されたものだけなら、コンピュータの方が速く、正確に分析します。

 しかし、そんなものは判断材料のごく一部に過ぎません。周辺の人から会社の評判などいろいろな情報を取り、社長にインタビューして経営方針や人物像を見るのはもちろん、その話し振りや顔色から自信や確信に満ちているかどうかまで判断する。AIが自己学習するためにはデータが豊富に揃っている必要がありますが、我々が判断材料とする情報はデータ化しにくい“ニュアンス”のものが多いのです。

 そもそも日本の株式市場はアメリカと比べて歴史も短く、規模も小さく、経験も少ない。さらに小型株の場合、出来高が少ない。従ってデータが少ないんです。

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