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減俸や現役引退のプロ野球選手に大きくのしかかる「税金」

憧れの職業のもう1つの現実

 シーズンが幕を閉じ、今年も契約更改の季節が巡ってきた。二刀流の大活躍で日本一に貢献した日本ハム・大谷翔平(22)の大幅年俸アップが注目される一方で、成績が残せず減俸やトレードの秋風を首筋に感じている選手も少なくない。

 減俸や現役引退というフェーズに立った選手に、大きくのしかかるのが「税金」だ。市井のサラリーマンとは収入の桁が違うだけに、納める税額の“スケール”も大きくなる。

「年収への課税は大きく、国に納める所得税と、地方税である住民税の2つがあります。会社と雇用契約を交わしているサラリーマンのほとんどは、面倒な税務処理の必要はなく会社が毎月の給料からの天引き、年末調整などをしてくれます。それがプロ野球選手の場合、球団と個別に契約を交わす個人事業主の扱いになる。そのため選手個人が確定申告をする必要が出てきます」(スポーツ選手と契約経験のある税理士)

 そうしたなかで、思わぬドタバタや悲劇が起きることがあるのだ。“年俸1億円もらっていても、半分は税金でもっていかれる”といった選手の嘆きはよく紹介されるが、ポイントは納税の時期だ。

「最近は球団によって微妙に違いがあるものの、基本的にプロ野球選手の“給料”は、年俸を10~12等分した額がほぼ毎月、指定の口座に振り込まれるかたちになる。毎回の振り込みで、約20%の源泉徴収(所得税)がされるが、一回の振込額が1000万円を超えるような億プレーヤーの場合、納めるべき所得税の税率は当然、最高税率の45%です。

 つまり源泉徴収との差額を『翌年春』の確定申告の際に支払うことになる。さらに住民税(一律10%)は、確定申告後の『翌年6月以降』に納めるという“時間差”が生まれるのです」(同前)

 一度、高額年俸を手にした選手が不振でシーズンを棒に振って大幅減俸となった場合、月ごとの振込額が激減した状況下で、“高かった去年の年俸”にかかる税金を払っていくことになるのだ。

「昨オフは大幅減俸が相次いだ。年俸5億円だった巨人の杉内(俊哉、36)は自ら申し出て、5000万円プラス出来高でサイン。中日・岩瀬(仁紀、42)も2億5000万円ダウンの年俸5000万円に激減。

 杉内の『4億5000万円ダウン』は、プロ野球史上最大の減額でしたが、そうなると今季の杉内は、収入が5000万円なのに、3億円前後の税金を納める計算になってくる。“破産しないか”という声が出たほどです」(担当記者)

 現役を引退して「年俸」がなくなる選手にも同様の悩みが生まれる。

 プロ野球選手の“再就職”は狭き門だ。テレビの地上波放送が減ったことに加え、スポーツ紙など専属評論家、解説者を抱えるマスコミはコスト削減で躍起になっている。なんとかコーチのクチが見つけても、現役時代の年俸には及ばない。

※週刊ポスト2016年11月25日号

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