「ドラマのファンのかたは今でも多く来てくださっています。あのドラマに出た役者さんは全員ここに来たことがありますから。小泉さんが座った椅子に座りたいといったリクエストもありますね。その他の芸能人のかたも、プライベートで時々いらっしゃいますよ」

 客足が途絶えない理由を、浅田さんはこう考えている。

「やっぱり、この土地がすごくいいということの証明ではないでしょうか。田舎すぎず都会すぎないし、空気もきれいで景色もきれい。ただ、物価は高いですが…」

 終始誇らしげだった由比ガ浜・七里ガ浜住民たちの顔を唯一曇らせたのが「物価」。コーヒー1杯で安くて600円。「軽くランチを」と思っても1人2000円ならば安い方だ。七里ガ浜の飲食店の中には、「実はこのあたりの食材は高いから仕方なくこっそり大船で買ってるんです…」と告白する経営者もいた。

「そう、大船は鎌倉市民にとって見下しの対象、『仕方なくこっそり』行く場所です」
 
 顔を曇らせながら、そう話すのは、北鎌倉よりさらに山側に位置する大船住民。

「七里ガ浜在住のママ友のFacebookを見たら、大船のことを『鎌倉にこんなところがあったのか』と書いていたんです。

 大船は田舎でダメダメな存在。“昔、闇市があったところでしょ?”なんて言われたこともあります。だから、鎌倉市民同士で住所の話になると、いつもビクビクしてます」(ある大船住民)

「物価が安い」と大船に買いに来るくせに、「闇市」とばかにする。ここでもまた鎌倉市民同士の歪んだ格付けが行われていた。

 そんなふうに内部でどっちが上か下か互いにマウンティングを続ける鎌倉市民を、お隣の藤沢市から高みの見物を決め込む男がいる。藤沢市出身の競泳選手で、ロンドン五輪銅メダリストの立石諒選手(27才)だ。

「藤沢から見ると、小町通りとか雪ノ下の方は、駅前はにぎやかで栄えているけれど、一本奥に入ると意外と住宅街が多いな、という印象があります。ビーチも藤沢市は江の島があるから、由比ガ浜や七里ガ浜より勝ってるぞ、と密かに思っています。実際、若者は七里ガ浜よりも江ノ島に遊びに来ている人が多い。もしかしたら、鎌倉より藤沢の方が交通アクセスが断然いいのが理由かもしれません。ただ、ぼくは競泳選手なので、海で泳ぐことはないのですが…(笑い)」

 そうは言いつつも、「もちろん藤沢に住んでいたら、鎌倉の歴史は習いますし、鎌倉もいいな、というのはありますよ」と鎌倉への憧憬もチラリ。

「だから、争うというよりは、老舗の店に行きたいと思ったら鎌倉に行こうとか、若者向けの店で新しいものを食べたいなら藤沢に来ればいいじゃない、とか持ちつ持たれつの関係でいいんじゃないの?と思います」(立石選手)

※女性セブン2016年12月1日号

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