日本への復員船の中で病没した戦友鬼頭千万太に頼まれ、金田一は千万太の故郷・獄門島にやってきた。しかし、千万太が心配していた通り、三人の妹が次々殺される。例によって犯人はわざわざ娘の死体を逆さづりにしたり、重たい釣鐘に隠したり、謎めいた演出をせずにはいられない。さらに島に潜伏していた海賊も闇討ちにされる。ただでさえ、地獄のような南島からの復員直後でトラウマを抱え、袴も身体もよれよれ度歴代一番の長谷川金田一は、混迷する事件に一睡もできず、目がすわった状態。ぼさぼさ頭をかきむしり、「たった三日で三姉妹と海賊を始末した。なんなんですか、この島は!?」と大絶叫。きえーっ、顔面蒼白の探偵の顔が一番怖いって。どんなドラマなんですか、これは!?
しかし、NHKの金田一攻勢はこれだけではない。BSプレミアムの昼の映画で、『悪魔の手毬唄』『八つ墓村』『犬神家の一族』『獄門島』を次々放送。さらに24日から26日には、BSプレミアムで『シリーズ横溝正史短編集 金田一耕助登場!』で新作ドラマ三連作を放送するのだ。この三作は、横溝初期の短編を映画やCMなどで活躍するクリエイターが映像化したもので、金田一が誰かと思ったら、池松壮亮!
池松金田一は、百貨店で万引きを繰り返す謎の令嬢がからんだ「黒蘭姫」や義足の男の行方を追う「殺人鬼」、青酸カリの毒殺トリックを解く「百日紅の下にて」の三事件と遭遇。短編だけに約30分で解決する腕のよさ(?)も斬新だ。
地上波の民放がお仕事ドラマを揃える中、独自のおどろおどろ路線で攻めてくるBSプレミアム。かつてのブームを知る世代、池松ファン世代、濃厚ドラマ好き層をガッチリつかむ、うまい手といえる。