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赤ちょうちんと露地行灯が客を誘う東京・文京区の角打ち

治江さん(手前左から2人目)を囲み笑いが絶えない店内

 今回出かけた角打ち酒屋は、東京・文京区にある『十一屋能村(じゅういちやのむら)酒店』。

 この広い日本、屋号に十一を冠した店は多いが、この店の十一には、どんな由来があるのだろうとの興味も手伝っての訪問だったのだが、「僕自身とくに深く考えたことはないんですよね。恐らく、十より多い数字だから商売繁盛につながり縁起がいい。昭和初期に店を興した祖父が、そんな感じで考えてつけた屋号じゃないんですかね」と、主人の能村武史さん(45歳)はあっけらかん。

 秋から冬へと移りゆく季節、山の手の下町と称されるこのあたりの住宅街は夜の訪れも早くなり、人通りもぐっと減ってしまう。だが、まさに十一の縁起か、今宵も店内では、「幸せはここにあるよ」と表現しているような笑顔で、飲み語らうサラリーマンや、職人さん、OLさんであふれかえっている。

 表通りは車の繁く行き交う不忍通り。そこを曲がると、ほの暗い道が店へと続く。

「軒に下がった十一屋の文字が浮き上がる赤ちょうちんの健気な赤と、店の前に置かれた露地行灯のやさしい白い灯が何とも言えない。ほっと安心するし、誘われるんですよ。そこで飲んでいる客といったら、入口のガラス戸の開け方で誰が来たかわかるほどの、みんな仲良し仲間ですしね」(60代、製薬会社)

「酔い始めるとやたら気前がよくなって、乾き物をおごりまくる人が、ほらそこにいますよ。初めてだっていう客がけっこう飛び込んで来るんだけど、そういう新顔さんに店の客を紹介しまくる人も。あれっ、それって私かな(笑い)。とにかく面白くて味のある人ばかりでねえ。ようするにそんなみんなの井戸端会議場なんですよ」(50代、金融系)

 武史さんを主人と紹介したが、彼は別に仕事を持っているため、先代の後を引き継いで実質的に切り盛りしてきたのは伯母(父の姉)の治江(はるえ)さん。

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