──ギャンブル依存症対策はどこまで進んでいるのか。
廣中:国もようやく本腰を入れ始めたところで、各地の保健所、精神保健福祉センターなどで相談を受け入れるようになりました。これとは別に「ギャンブル依存症問題を考える会」のようなNPO法人が作られ、啓発活動や相談業務を行っています。また、各地に自助グループも作られています。
──実際に相談や治療を行なう人は増えているのか。
廣中:増えているとは言い難い状況です。常習的なパチンコ・スロット遊技者500名を対象に行ったWEB調査によると。ギャンブル障害に相当する人が70%、このうち39%が自分はギャンブル障害かもしれないと自覚していながら、精神科や保健所などの専門機関や自助グループにつながっている人はわずか6.5%に過ぎませんでした。
当面の課題は、一般の人々の間に「これは心の病気である」という認知度を高めることと、当事者が専門機関につながる機会を増やすことにあります。
──カジノ合法化には反対か。
廣中:依存症対策がいっそう推進されるのであれば、個人的に反対はしません。ただ、きっちり対策をやろうとすると、まだギャンブル障害に陥っていない人々に対する一次予防から、すでに地獄を見た人を再び社会に救い上げる仕組みをつくるまで、相当な労力が必要ですし、経費もかかります。
そう考えると、巷でいわれているように本当にカジノが地方創生などの財源になるかどうかは疑問で、きちんと試算しなければならないと思います。