第3の理由は、今秋からフジテレビ系列(関西テレビ制作)の火曜22時枠がなくなったこと。『逃げ恥』は、「視聴者が1つのドラマに集中できるようになった最高のタイミングで放送された」という運にも恵まれていたのです。一方、フジテレビ系列はドラマ枠が重複する22時枠を避け、21時枠に移動して『レディ・ダ・ヴィンチの診断』を放送していますが、まだ思うような結果は出ていません。
もともとフジテレビ系列は、火曜21時枠と22時枠で連続してドラマを放送していましたが、「2015年3月で低視聴率が続いた21時枠を終了させて、22時枠のみを残した」という経緯がありました。さらに、22時枠は2014年4月にTBSがドラマ枠を新設してから、視聴率で“7勝3敗”と大きく勝ち越していたにも関わらず、低視聴率同士の争いが続くことを危惧して、21時枠に移動させたのです。
逆に、TBSから見たら、「後発である上に、“3勝7敗”と大きく負け越していたのに、フジテレビ系列が22時枠から撤退してくれた」という望外の状況が訪れました。もっと言えば、火曜22時はNHKも『セカンドバージン』などのヒット作を輩出した『ドラマ10』を放送するなど、3つの作品が同時放送される最大の激戦枠でした。ところが、今年の4月に突然金曜22時に移動してしまい、TBSとフジテレビの一騎打ちとなっていたのです。
それぞれのドラマ放送期間を比べると、TBSのわずか2年半に対して、NHKは6年、フジテレビ系列は20年もの長きに渡って放送。『GTO』『僕と彼女と彼女の生きる道』『結婚できない男』らの名作に加え、今年も『僕のヤバイ妻』が話題を集めるなど、認知度の高いドラマ枠でした。視聴率や歴史の差を踏まえると、TBSは「競争を勝ち抜いて生き残った」というよりも、「思わぬ追い風が吹いて笑いが止まらない」というニュアンスが適切な気がします。