日本の保守は「親米派」ばかりでロクな奴がいないが、晋三総理は違う。経団連に賃上げを要求するなんて歴代総理は誰もやらなかった。確かにおぼっちゃんだけど、俺と同じで、みんなで幸せになって美しい国を作ろうという気概がある。
ただし、改憲論者の俺だけど、このタイミングでの憲法改正は危険だと言っておきたいね。阿呆で拠り所を失っている現在の日本人に国家の基本法を作れるはずがない。自立した精神を持ち、日本古来の美徳を基軸にした憲法を作らないとダメなんです。基本的人権や国民の自由を尊重した上で、外国のマネではない憲法を作るべきだ。
そのためにもまず日本人が民族の魂を取り戻す必要がある。だから俺は、近代日本の黎明期である明治期に「賊軍」とされた西郷隆盛や白虎隊を靖国神社に合祀しろと申し入れている。権力側に立って戦った人間ばかりでなく、権力側と戦った人間も人と国を思っていたのだから、きちんと讃えなければならない。
これは、有史以来、日本人が育んだ民族の魂の源流を鑑みて、未来に向けて憂いのない歴史を継ぐためにも絶対に必要なことだよ。
【PROFILE】1936年広島県生まれ。東京大学経済学部卒業後。1962年、警察庁に入庁。1977年に退官。1979年、衆議院議員選挙に自民党から立候補し初当選。運輸大臣、建設大臣を歴任。2005年には自民党を離党し、国民新党を結党。2009年、国務大臣金融・郵政改革担当に就任するも、2010年6月に辞任。現在、無所属。
※SAPIO2017年1月号