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弘兼憲史氏 「パワハラ時代こそ若者は宴会芸を使いこなせ」

弘兼憲史氏が若手社員に提言

 サラリーマンのバイブルである『課長島耕作』の中で“神回”と評される第81話には、味わい深い宴会芸が登場する。

 あるとき島は、宴席で取引相手から「裸踊り」を強要される。「冗談じゃない!! 何で俺がそこまで」と気色ばむ島の代わりに、上司の中沢部長は、「裸踊り? それ私の得意芸ですわ」とおどけ、手ぬぐいを頭に被せて全裸で“かっぽれ踊り”を披露する。

 時代が変わり、今、上司が部下に「裸で踊れ」などと命じたら、「パワハラだ」と訴えられかねない。だが、著者の弘兼憲史氏は世知辛い風潮に理解を示しつつも、宴会芸による「人間関係の深化」を評価する。

「もちろんパワハラは避けるべきだけど、『郷にいっては郷に従え』という考えもある。上司の無理難題を上手くこなすことも組織で働くには大切なことです。

 上司だって人間だから、部下に断わられたら嬉しくないはず。自分の言い分を通すことは正しいけど、時には自己主張を我慢して、場の空気に合わせることもサラリーマンには必要です」

 弘兼氏は、宴会芸も「人のためならず」だという。

「私の知る限り、経団連にいる若手経営者でも“ジジ殺し”が上手で偉い人に引き上げられる人がいますし、四角四面の人間より、宴会芸をさらりとこなすタイプが出世する。

 嫌がる島を助けるため、『私の得意芸ですわ』とウソをついて裸踊りをした中沢部長のように、部下の信頼を得るケースもあります。サラリーマンにとって、宴会から学ぶことは多い」

 古来、「芸」には人を魅了する力がある。宴会芸をくだらないと侮ると思わぬしっぺ返しがあるかも……。

※週刊ポスト2016年12月16日号

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