コラム

金融緩和+財政出動の拡大 2017年は世界的な株高到来か

主要国の「影の金利」の推移

「2017年はいよいよ世界的な株高が期待できる」──そう断言するのは、これまで数々の爆騰株を見出してきた、海外投資のカリスマとして知られるグローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏だ。金融緩和と財政出動の拡大に伴い、資産バブル発生の好環境が整いつつあるという。以下、戸松氏が解説する。

 * * *
 今後の世界的な好景気到来の兆しが見え始めている。日米独の長期金利(10年国債利回り)は2016年7月に揃って過去最低を更新したが、その後は上昇に転じ、底打ちした状況が見て取れる。これは、世界の債券市場が、今後の景気回復を見込んだ動きを強めているといえるだろう。

 世界的にマネーが溢れる金融緩和も継続。6月のブレグジット(英国のEU離脱)決定前後から、ECB(欧州中央銀行)は社債購入開始、日銀はETF(上場投資信託)の購入拡大を発表し、日欧の金融緩和は量的な拡大から質的なものへと変化してきている。

 世界的な金融緩和の拡大は、ニュージーランド準備銀行(中央銀行)が試算する「影の金利(シャドー・レート)」からも読み取れる。これは各国中央銀行の名目上の政策金利に量的緩和や緩和局面の長期化予想(フォワード・ガイダンス)などを金利に換算した実質的な政策金利を示すもので、日本はマイナス4.65%、同じく欧州はマイナス7.5%などと金融緩和拡大は顕著といえ、株式市場に資金が流入しやすい傾向が強まっている。

 トランプ米大統領誕生も株式市場には追い風だ。財源問題や保護貿易主義などの不透明要因はあるものの、10年で6兆ドル規模の大幅減税や1兆ドル規模といわれるインフラ投資拡大で米国経済は加速する見通し。また、米国グローバル企業が海外に留保している利益への課税強化も検討しており、2004年に実施された本国投資法と同じく米国内への資金流入が見込まれ、ドル高・円安となっていることは日本株にとってプラス材料だ。

 加えて、財政出動拡大の機運は世界的に高まっている。IMF(国際通貨基金)はG20(20か国地域財務相・中央銀行総裁会議)で各国に財政出動を要請。日本では大型補正予算が組まれ、中国でも官民一体のインフラ投資プロジェクトなど積極的な財政出動による内需刺激方針が発表されたほか、英国やカナダなどでも財政出動拡大へと舵が切られている。

 このように「金融緩和拡大」に「財政出動拡大」が加わることによって、2017年はいよいよ世界的な株高が期待できる、というのが私の見方である。

マネーポスト2017年新春号

関連キーワード

トピックス

デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
【白鵬氏が九州場所に姿を見せるのか】元弟子の草野が「義ノ富士」に改名し、「鵬」よりも「富士」を選んだことに危機感を抱いた可能性 「協会幹部は朝青龍の前例もあるだけにピリピリムード」と関係者
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(時事通信フォト/目撃者提供)
《前橋・小川市長が出直し選挙での「出馬」を明言》「ベッドは使ってはいないですけど…」「これは許していただきたい」市長が市民対話会で釈明、市議らは辞職を勧告も 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン
維新に新たな公金還流疑惑(左から吉村洋文・代表、藤田文武・共同代表/時事通信フォト)
【スクープ!新たな公金還流疑惑】藤田文武・共同代表ほか「維新の会」議員が党広報局長の“身内のデザイン会社”に約948万円を支出、うち約310万円が公金 党本部は「還流にはあたらない」
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《ほっそりスタイルに》“ラブホ通い詰め”報道の前橋・小川晶市長のSNSに“異変”…支援団体幹部は「俺はこれから逆襲すべきだと思ってる」
NEWSポストセブン
東京・国立駅
《積水10億円解体マンションがついに更地に》現場責任者が“涙ながらの謝罪行脚” 解体の裏側と住民たちの本音「いつできるんだろうね」と楽しみにしていたくらい
NEWSポストセブン
今季のナ・リーグ最優秀選手(MVP)に満票で選出され史上初の快挙を成し遂げた大谷翔平、妻の真美子さん(時事通信フォト)
《なぜ真美子さんにキスしないのか》大谷翔平、MVP受賞の瞬間に見せた動きに海外ファンが違和感を持つ理由【海外メディアが指摘】
NEWSポストセブン
柄本時生と前妻・入来茉里(左/公式YouTubeチャンネルより、右/Instagramより)
《さとうほなみと再婚》前妻・入来茉里は離婚後に卵子凍結を公表…柄本時生の活躍の裏で抱えていた“複雑な感情” 久々のグラビア挑戦の背景
NEWSポストセブン