退職後の会見では、部屋の師匠であり、「宮城野」を襲名することになった元横綱・旭富士も同席したが…(写真・時事通信フォト)
1年を締め括る九州場所が博多で開催され、連日満員御礼の盛況が続いている。土俵では白熱の取組が続くなか、本場所の折り返しを前に関係者の間で盛り上がりを見せているのは“土俵外”の話題だ。
若手親方のひとりは「白鵬(元宮城野親方)が後半戦に相撲観戦に訪れるのではないかという話が出ている。協会幹部はそれで浮足立っているようです」と話す。
「本当に来るのかはわからないが、先発事務所の浅香山さん(元大関・魁皇=九州場所部長)には“絶対に支度部屋に入れるな”“あくまでも一般客として正面から入場してもらえ”といった指示が出たとの話もあるそうです」(若手親方)
今年6月に日本相撲協会を退職した白鵬翔氏。不祥事で自身の宮城野部屋が閉鎖となり、昨年4月から伊勢ヶ濱部屋に転籍していた。退職直後に開いた会見冒頭には、部屋の師匠であった伊勢ヶ濱親方(元横綱・旭富士)が「宮城野」の名跡を引き継ぐこともあって同席。「旧宮城野部屋の力士の中から『宮城野』を継げる力士が出てきたら譲渡する」と円満退職を強調したが、実際には宮城野部屋の再興の時期が具体的に示されなかったことが白鵬氏の退職の理由とされる。相撲ジャーナリストが言う。
「協会幹部との間に確執があったのは明白でしょう。ただ、相撲を世界に広げるビジネスを展開しようと考えているから、表立っては白鵬も協会批判を口にしない。退職会見には基本的に批判的な記事や報道をしない相撲記者クラブ所属の報道機関、一部の海外報道機関のみに参加者が限られました」
そうした緊張関係のなか、今回の情報に協会幹部がピリピリしているのは“前例”があるからだという。相撲担当記者が言う。
「朝青龍の前例です。朝青龍も表向きは引退の扱いだったが、一般人への暴行事件をめぐって相撲協会が強制引退に追い込んだかたちだったわけだが、その朝青龍が2021年九州場所12日目に夫人を伴って西マス席で甥っ子の豊昇龍の相撲を観戦したことがある。
朝青龍はこの日の観戦をツイッター(現・X)で予告していたことで、協会サイドは“厳戒態勢”で当日に臨んだ。目の前で豊昇龍が大栄翔に押し倒されたが、支度部屋を訪問することはできなかった。マスコミの囲みも館内ではなく会場前の路上に。それでも“剣道のあれ(竹刀)でケツを2~3発入れてやりたいよ”と吠えた。古巣の高砂部屋には顔を出したようだが、会場ではあくまでも一般人としての対応だった」
