国際情報

中国人のカナダ移民で仲介業者が虚偽 800人が資格取消か

数百人が永住資格を取り消しに

 中国人のカナダ移住の手続きで、仲介業者による不正が発覚し、すでにカナダ移住資格を獲得した中国人800人以上の永住権が取り消される見通しであることが分かった。中国共産党機関紙「人民日報」傘下の国際紙「環球時報」が報じた。

 これだけ多くの移民資格取得者の資格が取り消されるのは初めて。仲介業者が移民希望者のカナダでの居住日数を虚偽申請したためで、仲介業者はカナダ移民当局に逮捕され、2017年1月に裁判が開かれる予定だ。

 カナダでは1997年の香港返還を契機に、香港からの移民が急増。その後、カナダへの移民は手続きが簡単だとの噂も広まり、投資することで長期滞在許可が得られる「投資移民」の枠もあることから、カナダには中国富裕層が大挙押し寄せた。駐香港カナダ領事館では2012年、申請が多すぎるとして一時、受付を中止する騒ぎとなったこともある。

 その後も、カナダのバンクーバー市などは中国系住民が半分以上を占めるなど、ここ数年、中国人のカナダへの移民が急増していることから、カナダ政府は2014年に移民受け入れ基準を厳格化。主に国籍取得前の5年以内に980日以上、カナダ国内に居住することが求められる。

 問題の仲介業者は移住希望者のパスポートに細工。希望者が規定の日数に達していなくても、カナダの出入国管理局の入国と出国時のスタンプを偽造して、必要な980日の日数以上、カナダ国内に居住していたことにしていた。

 これで、この業者は2006年から2013年までの7年間で1200人の中国籍移民の永住権を取得し、1000万カナダドル(約8億6000万円)を稼いでいた。

 ところが、カナダ当局があまりの多さに不信を抱き、提出された書類を再調査したところ、調査済みの320人すべてに偽造スタンプによる不正が発見された。まだ調査が終わっていない書類が500人分以上残っていることから、800人以上の居住資格が取り消される見通し。

 この業者は上海生まれで、1997年にカナダ移民として永住権を取得。昨年逮捕され、裁判の一審で懲役7年、90万カナダドル(774万円)の罰金の判決を受けたが、控訴し、来年1月に判決が下される予定。これだけ大掛かりな移民詐欺はカナダでも初めて。

 ネット上では「腐敗で儲けた金で移民をしようとして、さらに書類を偽造しているのだから呆れるね。中国の富裕層は心が腐っているぞ」などとの書き込みが目立つ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

逮捕された草間リチャード。右は現場
《「下半身を出している人がいます」と110番》Aぇ!group草間容疑者の逮捕現場は新宿の飲み屋ストリート、朝5時半でも通行する人は多く…配信番組が急遽ストップでファンから心配の声
NEWSポストセブン
地区シリーズ・フィリーズ戦での先発が予定されている大谷翔平(地区シリーズ・フィリーズ戦での先発が予定されている大谷翔平(写真/AP/アフロ)
《世界一連覇なるか》ブルペン陣に不安が残るドジャースの頼みは「大谷翔平の先発&クローザー登板」か フィリーズ戦で先発予定も「故障のリスクを冒してでもクローザーで投げさせたい」との指摘
NEWSポストセブン
中国の名門・清華大学に在籍する
「あまりにも美しい女性は生配信に向かない!」中国の名門・清華大の美女インフルエンサーが突然の更新ストップ【SNSを巡る親子の対立で物議】
NEWSポストセブン
米・女優のダコタ・ジョンソン(35)(時事通信フォト)
《”ネイキッドドレス”で大胆な肌露出》米・お騒がせセレブが映画祭で“ほぼ裸”ファッションを披露、専門家が解説「セレブの勲章ともいえるファッション。ただし節度も必要」
NEWSポストセブン
香川県を訪問された秋篠宮妃紀子さまと次女・佳子さま(2025年10月2日、撮影/JMPA)
《手話動画が話題に》「手話できる佳子さまカッコいい」“真逆”のカラーをお召しになった紀子さまとさりげなく共通カラーを入れた高度なコーディネート
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の公判が神戸地裁で開かれた(右・時事通信)
《クロスボウ殺人》母、祖母、弟が次々と殺され…唯一生き残った叔母は矢が貫通「息子は、撃ち殺した母をリビングに引きずった」【野津英滉被告・公判】
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《本人が最も恐れていた事態に…》「タダで行為できます」金髪美女インフルエンサー(26)、デリバリー注文のバーガー店が滞在先を暴露「軽視できません」
NEWSポストセブン
部下と“ホテル密会”を繰り返していた前橋市・小川晶市長(時事通信フォト)
小川市長”ラブホ会議問題”の前橋市民から出る嘆き 「高崎の親戚からすんげえ笑われた」「男と女でどんな会議なんかい、ほんと恥ずかし」
NEWSポストセブン
「愛馬の日」のイベントに参加された愛子さま(2025年9月、東京・世田谷区。撮影/JMPA)
悠仁さまの成年式を機に海外メディアが相次いで“男性しか継承できない”日本の現行制度を不可解だと指摘 皇位継承から除外されている愛子さまの存在もクローズアップ 
女性セブン
自党内の混乱はおさまりそうにない(時事通信フォト)
“女安倍”高市氏に防衛省制服組が“ただならぬ警戒感”「台湾有事が現実に」「独自の国家観をもつ軍事フリークは面倒」、進次郎氏を推す意外な声も「実力不足の方がいい」
NEWSポストセブン
たばこ祭りに参加した真矢と妻の石黒彩
《杖と車椅子で10メートルの距離を慎重に…》脳腫瘍のLUNA SEA・真矢が元モー娘。の妻と夫婦で地元祭りで“集合写真”に込めた想い
NEWSポストセブン
浅香光代さんの稽古場に異変が…
《浅香光代さんの浅草豪邸から内縁夫(91)が姿を消して…》“ミッチー・サッチー騒動”発端となった稽古場が「オフィスルーム」に様変わりしていた
NEWSポストセブン