国内

特権年金を廃止したから民主主義衰退? 代議士の仰天理屈

一度は廃止された議員年金に復活の予兆

 国会では与党が「年金法改正案」を衆議院で強行採決、参議院でも成立が確実な見込みとなっている。物価と賃金のどちらかが下落すれば年金支給額が下がることになるため、国民の受給額を減らす「年金カット法案」と呼ばれた。

 ところが、国民には年金カットを押しつける議員たちが、一方で悪名高き議員年金の復活に向けた準備を着々と進めている。

「議員年金」といえばかつては「役得年金」の代名詞だった。国民年金や厚生年金との重複加入が認められ、地方議員は12年、国会議員は10年で受給資格を得られたため、地方から国会に転じた政治家の中には議員年金の「ダブル受給者」もいた。

 それが批判されて国会議員年金は小泉政権下の2006年に廃止、地方議員年金は民主党政権下の2011年5月に「全ての地方議員に特権年金があるのは世界でも日本だけ。国民生活と乖離した悪しき制度」として国会の全会一致で廃止法案が成立した。

 あれから5年、特権復活の動きはまず地方から広がった。

 年金カット審議さなかの11月11日、全国都道府県議会議長会のお歴々が首相官邸や自民党本部を訪ね、菅義偉・官房長官や二階俊博・幹事長に議員の年金加入を求める決議を手渡した。各地の市議会や県議会でも次々に決議がなされており、政務調査費をめぐる不正で議長が続けて辞任した宮城県議会は、なんと全会一致で年金復活を求めている。

 自民党本部は政務調査会の「地方議員年金検討プロジェクトチーム」で本格的な検討にとりかかった。

 チームの1人、熊本県議出身の坂本哲志・代議士は議員年金復活の必要性をブログでこう説明している。

〈今、議員に年金はつきません。町村議会議員から国会議員まで全て国民年金です。このためでしょうか最近地方議員、特に市町村議員へのなり手が少なく無投票が増えています。これは結局議会の活性化を阻害して、本来の議会制民主主義を衰退させてしまいます。そこで地方議員の年金を復活させるべきということで自民党では今、ワーキングチームを作って論議しています〉

“議員の特権年金を廃止したから、この国の議会制民主主義が衰退している”という仰天の理屈である。

■取材/福場ひとみ(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2016年12月23日号

関連記事

トピックス

中国人インフルエンサーがカンボジアの路上で変わり果てた姿で発見された(TikTokより)
「クスリを支配の道具に」「行為中に使う客層も…」変わり果てた中国人美女インフルエンサーが保護されたシアヌークビル、専門家が語る現地アングラ界隈のリアル
NEWSポストセブン
木原龍一、三浦璃来(写真/AFLO)
【ミラノ・コルティナ冬季五輪】小塚崇彦さんが解説するフィギュアスケート日本代表の強さ 世界王者「りくりゅう」だけじゃない「史上最強の代表陣」
米・ミネソタ州でICEの職員が女性に向けて発砲し死亡した事件が起きた(時事通信フォト)
【本当に正当防衛か?問題動画検証】米・ミネアポリスで移民当局が女性射殺 国と市長が異例の対立…「女性が抵抗」トランプ大統領・「狂った左派」バンス副大統領vs.「でたらめだ」市長
NEWSポストセブン
沖縄県警の警察官が、「ガサ(家宅捜索)」に入った女性の勤務先に押しかけるという事案が発生(左/共同通信社)
《「恋した」「すっぴんがかわいい」と…》沖縄県警捜査員が“ヤミ金事件”捜査女性の勤務先に押しかけ、迫って、批判殺到 “パスポートを押収し、逆らえない状況でエイサーに誘った”
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈自慢のロングヘアがボサボサに…〉中国美女インフルエンサー(20)、精神に異常をきたして路上生活…母親が電話で抱いた疑念「話し方を指示されているのでは」【高給求めてカンボジアに渡航も】
NEWSポストセブン
月9ドラマ『絶対零度』で主演を務めた沢口靖子
《60歳とは信じられない美姿勢》沢口靖子、“本人も継続を断念”した『科捜研の女』完結後は…各局が熱視線を送る理由
NEWSポストセブン
秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《不敬どころの騒ぎじゃない》秋篠宮家・佳子さまも被害に…AIを用いた性的画像の被害が世界的問題に 専門家が指摘「男女問わず人権侵害」
NEWSポストセブン
実業家の宮崎麗香
《もう家族でハワイに行けない…》“1.5億円の脱税疑惑”の宮崎麗果、“ESTA取得困難”で恒例の「セレブ旅行」は断念か SNSで「深い反省」示す
NEWSポストセブン
元旦に離婚を発表した吉岡美穂とIZAM(左・時事通信フォト)
《3児の母・吉岡美穂がIZAMと離婚》夫のために「“鬼嫁キャラ”を受け入れた妻の想い」離縁後の元夫婦の現在
NEWSポストセブン
2026年1月2日、皇居で行われた「新年一般参賀」での佳子さま(時事通信フォト)
《礼装では珍しい》佳子さまが新年一般参賀で着用、ウエストまわりに“ガーリー”なワンポイント 愛子さまは「正統的なリンクコーデ」を披露
NEWSポストセブン
中国出身の女性インフルエンサー・Umiさん(TikTokより)
〈抜群のスタイルとルックスが一変…〉中国人美女インフルエンサーが示唆していた「潘親方(特殊詐欺グループのボス)」との“特別な関係”とは《薬物検査で深刻な陽性反応》
NEWSポストセブン
女優・羽野晶紀と和泉元彌の母の節子さん(右・時事通信フォト)
《女優・羽野晶紀“嫁姑騒動”から24年目 の異変》元日に公開された和泉節子さんとの写真から伝わる「現在の距離感」
NEWSポストセブン