たとえば知的能力。脳の中で知能に関係が深いのは「前頭葉」という部分だが、その表面積や厚さ、密度などは約80%が遺伝の影響を受けるとされている。
そこで気になるのが、音楽などの芸術的な「才能」はどこまで遺伝するのかということだ。 慶応義塾大学文学部教授・安藤寿康さんの「双子の研究」によると、音楽的な能力は育った環境よりも、生まれ持ったDNAのほうが強く影響するという。
世間では歌の下手な人は「親譲りのオンチで」なんて言い訳が常套句だが、あながち笑い話ではない。「音程」を取る能力は80%が遺伝で決まるとされる。残りの20%が育った環境に左右される部分だ。
さらに作曲能力など複雑な「音楽」の才能でいうと、実に92%が遺伝だという。ちなみに、小説家などの「執筆」の能力は83%が遺伝。同じく「美術」は56%が遺伝で、残りの44%が環境によって変わるという。
「画家の息子が画家」というケースよりも、音楽一家のほうがより多いこともうなずける。
「2014年3月、英科学誌ネイチャー系のオンライン医学誌にある論文が発表されました。『リズム感』がある人とない人では、内耳の細胞にかかわる遺伝子と、一部の脳にかかわる遺伝子の2つに差違があったそうです。以前から“リズムの取れない家系”があることは知られていましたが、遺伝子レベルでも、リズム感が遺伝することが証明されたんです」(医学ジャーナリスト)
※女性セブン2017年1月1日号