メリットが多いリフィル処方箋は日本でも導入が何度も検討されたが、いまだに実現していない。病院の来院回数の減少に繋がり、薬剤師の権限が強まりかねないため、医師会側が強く反対しているというのだ。しかし、日本在宅薬学会理事長で医師の狭間研至氏は医師としてこの制度に賛成する。
「超高齢化社会に突入する日本において今後、急増する医療ニーズに医師だけで応えるのは難しい。医師は患者の病状を診断し、大きな治療方針を決め、患者への日々のサポートは薬剤師が担うといった新しい役割分担が求められています。
イメージとしては、病院で医師の診断を受けるのは年2~4回程度が良いでしょう。それ以外は近所の薬局の薬剤師から30日分の薬を調剤してもらい、日々の相談にも乗ってもらうといったシステムが理想です」
薬剤師に患者のサポートを委ねることのメリットは他にもあるという。狭間氏が続ける。
「例えば、患者が“最近、目まいがする”と訴えた時、医師に相談すれば“薬を出しましょう”となることが多いが、リフィル制度で薬剤師がより患者に近い立場になれば、違う視点からの助言ができるかもしれない。薬のプロの立場から“薬の副作用の可能性もあるので量を減らせないか、医師に相談しましょう”と減薬まで視野に入れた助言も可能です」
これまで「医者に相談するたび処方薬が増えていった」という人も、これなら薬の多剤併用による副作用リスクなどを防ぐこともできる。
※週刊ポスト2016年12月23日号