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セレブ産院、中絶後急死事件「都の指導があれば防げた」

セレブ産院での急死事件に夫は都に要望書を提出た(写真/アフロ)

 都内の産婦人科病院で、中絶手術を受けた女性が、6日後に急死するという出来事が起きた。その病院とは、東京・武蔵野市の水口病院。天蓋付きの「お姫さまベッド」やヨーロッパ調の家具を備えた個室があるなど「セレブ産院」と呼ばれていた。

 この水口病院で田中由美さん(23才・仮名)は7月8日に中絶手術を受けた。夫の田中真人さん(26才・仮名)によると、「胎児が育っていない」と診断されたための決断だったという(水口病院は「少なくとも、当院が患者様にそのような診断をしたことはありません」と否定)。

 しかし、その6日後、由美さんは急死する。田中さんは、妻の死の原因を知るために動き始めると、由美さんの執刀医・A医師が人工中絶手術をすることができる指定ではなかったことが発覚。田中さんは12月6日に記者会見を行い、この事実を告発したのだ。

 田中さんの追及に水口病院は、由美さんの手術は指定医であるB医師が行う予定だったが、当日に体調不良となったため、急遽A医師が手術を行ったと釈明した。

 水口病院は1952年に開院。2004年に初代院長の義弟であるC氏が理事長代行に就任したのを機に、女性スタッフからなる「経営管理室」を発足させる。病院の待合室や受付ホールをアール・デコ調に改装し、現在に至るセレブ病院の礎となった。

 登記簿によれば、2015年8月に前理事長が死去し、その後、現理事長が就任したのは2016年10月であり、1年2か月以上も理事長が不在だった。

 同病院が2016年11月16日付で田中さんに提出した報告書には、理事長の名前はなく理事長代行としてC氏の名前がある。

 C氏は医師資格を持っていなかった。医療法46条の6第一項によれば、医療法人の理事長は原則として医師か歯科医師に限られる。人命を扱う医療において、医学知識のない者が責任者となり利益を追求すれば、深刻な問題が生じる恐れがあるからだ。

「理事長不在の期間、実質的にはC氏が病院運営を主導していたとみられます。そうした組織運営の問題点が、指定医ではない医師が何度も中絶手術を行っていたことの背景にあるのではないかと考えられます」(田中さんの代理人・中川素充弁護士)

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