国内

ママカーストや虐待発生背景に母が格差社会で抱える閉塞感

3月に第2子を出産した東尾理子(41才)

 2016年1月、埼玉で3才女児が「元夫に似ているからムカツク」との理由で日常的に虐待を受けた末、死亡した。女児の体は痩せ細り、顔は熱湯をかけられ焼けただれていたという。また10月には、大阪で、3才長男を山中の崖から投げ捨てたとしてヤンキー夫婦が逮捕されるなど、耳を疑うような痛ましい虐待の事件が相次いでいる。

 不妊治療の末、長男・理汰郎くん(4才)を授かった東尾理子(41才)は、3月には長女・青葉ちゃんを出産した。虐待事件には心を痛めるものの、「虐待したくなる気持ちは、わかります」と言う。

「抱っことかおむつ替えとか毎日のことで、きれいごとじゃすまない。腰は痛いし、肩も凝る。イラっとすることもいっぱいありますよ。でもそこは我慢して、深呼吸。そしてあえて笑顔を作るようにしています。そうできるのも周りの支えがあってこそ。夫も、家族も、親戚も、ご近所さんも、私はみ~んな頼ってるんですよ(笑い)。ひとりじゃ、子供って育てられませんから」(東尾)

◆「母親だから」と力むのをやめて、「親」になるということ

 東尾のように誰かを頼ることはさも簡単に見えて、実はすごく難しい。それどころか、悩みを打ち明けたり、憂さを一緒に晴らしたりする相手もいないのではないか。そう思わせる事件も起きている。2016年2月、神奈川で高校受験に失敗した長男(15才)の首を母(47才)が締め、その後母も首を吊って亡くなるという悲劇が起きた。どうしてそこまで――。

 著書に『ママたちの下剋上』があり、19才と17才の子供がいる作家の深沢潮さん(50才)は、「今の母親は、格差社会のなかで大きな閉塞感を抱えている」と指摘する。

「こう育てたらこうなるという正解がないのに、将来は不安だらけで、より安全に、苦労しないように、と子供を育てるあまり、常に不安と焦りがあるんです。だから、幼児教育も英会話から体操教室スポーツまで、本当にすごい」(深沢さん)

 少子化の影響で、1人の子供にかける時間も思いも大きくなり、実際ある調査では、未就学児童の習い事にかける費用の平均は月約8700円にものぼるということが明らかになっている。東尾も理汰郎くんの教育に熱心だ。

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン