【第2位】ロードスターRF(マツダ)
第2位に推すのはマツダの小型オープンカー「ロードスター」に追加された電動ハードトップモデル「RF」だ。
注目のポイントは、日本車としては類まれなる付加価値の高さだ。乗ってみるまでは単にロードスターのソフトトップを電動ルーフにしただけだろうとタカをくくっていたのだが、実車を目の前にしただけで、そのハード化された屋根部分の造形が、ボディの下半分とのバランスをこれ以上良くするのは無理というくらい絶妙に仕上げられていた。
そのぎりぎりの見切りが、ソフトトップともまったく異なる、鋭利なカミソリのように研ぎ澄まされた雰囲気を生むのに貢献していた。
マツダは2011年発売のクロスオーバーSUV「CX-5」以降、「魂動デザイン」という新しいデザインポリシーを展開し、それ以降にデビューしたモデルは軽自動車など他社から供給を受けているものを除き、全部それになっている。
ロードスターRFも魂動デザインの名を冠されているのだが、その佇まいはさらに後に発売された新型「CX-5」も含めた他の新世代マツダ車と次元が異なる。高級車、スポーツカーといったくくりを超越した、オンリーワンの“モノ感”がある。
実際にドライブしたときの雰囲気も良い。加速、ハンドリング、乗り心地、燃費など、クルマの評価軸はいろいろある。ロードスターRFはそういう項目別評価についてもなかなか良くできていたのだが、運転しているとその優劣などどうでもよくなる。このクルマが途中でトラブルを起こすことなく転がっているというだけで満足できてしまうのだ。
価格は300万円台と安くはない。が、これだけの雰囲気のものを安く売る必要はそもそもないし、若者の需要喚起と無理矢理ひも付ける必要もない。動力性能や品質など、数値化可能な要素と関係なく、このタイプのクルマが好きだという顧客を理屈抜きに吸引するパワーを持つクルマが日本から生まれたことは本当に喜ばしい。