国際情報

北方領土返還交渉 プーチン大統領の本当の狙いはクリミア

外交ジャーナリスト・作家の手嶋龍一氏

 トランプ氏の勝利によって、これまでの秩序は崩れ、想像をはるかに超える事態が起ころうとしている。インテリジェンスに精通する2人が激流を読み解く。

 * * *
手嶋龍一:12月15、16日の安倍・プーチン会談は、日ロ関係の将来を占うものになるだけに、今後の日中関係にも大きな影響を及ぼすことになります。

佐藤優:北方領土返還交渉において、プーチン大統領には経済協力とは別の目的があると私は睨んでいます。本当の狙いはクリミアです。

 北方領土の引き渡しのために日本はロシアとの平和条約締結に向け交渉を続けていますが、平和条約では、互いの領土を保全して、国境線を認め合います。つまり、締結と同時にクリミア併合を認めることになる。G7のなかで最初にクリミア併合を認めるインパクトは大きい。

 一方で、日米安保5条などが障害となり、条件が折り合わずに経済協力も大幅に後退する状況に陥れば、日ロ関係は決定的に悪化します。どちらにしても厳しい結果が待ち受けている。

手嶋:今度の日ロ交渉は、台湾、北方領土、尖閣だけでなく、クリミア半島情勢にまでリンクしていくのですね。そうしたなかで今後の中国とロシアの関係をどうみますか? 実態はともかく、表面上、中ロは非常に接近しているように映ります。

佐藤:そこは日本次第ではないでしょうか。いまロシアは、アジア、太平洋に進出するための案内役を求めている。日本がふさわしいのか、中国に頼るのか。ロシアは見定めているのです。

手嶋:アメリカの影響力が弱まるなか、中国が案内役となれば中国に都合のいい形でロシアをアジアに導き入れてしまう。当然、中国は尖閣への圧力を強めるでしょう。日本にとって最悪のシナリオですね。

佐藤:そう思います。もう1つの懸案はTPP(環太平洋経済連携協定)です。手嶋さんは、TPPはどうなると考えていますか?

関連キーワード

関連記事

トピックス

ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
小室眞子さん“暴露や私生活の切り売りをビジネスにしない”質素な生活に米メディアが注目 親の威光に頼らず自分の道を進む姿が称賛される
女性セブン
組織改革を進める六代目山口組で最高幹部が急逝した(司忍組長。時事通信フォト)
【六代目山口組最高幹部が急逝】司忍組長がサングラスを外し厳しい表情で…暴排条例下で開かれた「厳戒態勢葬儀の全容」
NEWSポストセブン
藤浪晋太郎(左)に目をつけたのはDeNAの南場智子球団オーナー(時事通信フォト)
《藤浪晋太郎の“復活計画”が進行中》獲得決めたDeNAの南場智子球団オーナーの“勝算” DeNAのトレーニング施設『DOCK』で「科学的に再生させる方針」
週刊ポスト
手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《「ダサい」と言われた過去も》大谷翔平がレッドカーペットでイジられた“ファッションセンスの向上”「真美子さんが君をアップグレードしてくれたんだね」
NEWSポストセブン
「漫才&コント 二刀流No.1決定戦」と題したお笑い賞レース『ダブルインパクト』(番組公式HPより)
夏のお笑い賞レースがついに開催!漫才・コントの二刀流『ダブルインパクト』への期待と不安、“漫才とコントの境界線問題”は?
NEWSポストセブン
パリの歴史ある森で衝撃的な光景に遭遇した__
《パリ「ブローニュの森」の非合法売買春の実態》「この森には危険がたくさんある」南米出身のエレナ(仮名)が明かす安すぎる値段「オーラルは20ユーロ(約3400円)」
NEWSポストセブン
韓国・李在明大統領の黒い交際疑惑(時事通信フォト)
「市長の執務室で机に土足の足を乗せてふんぞり返る男性と…」韓国・李在明大統領“マフィアと交際”疑惑のツーショットが拡散 蜜月を示す複数の情報も
週刊ポスト
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
高校時代にレイプ被害で自主退学に追い込まれ…過去の交際男性から「顔は好きじゃない」中核派“謎の美女”が明かす人生の転換点
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《死刑執行》座間9人殺害の白石死刑囚が語っていた「殺害せずに解放した女性」のこと 判断基準にしていたのは「金を得るための恐怖のフローチャート」
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《小室圭さんの赤ちゃん片手抱っこが話題》眞子さんとの第1子は“生後3か月未満”か 生育環境で身についたイクメンの極意「できるほうがやればいい」
NEWSポストセブン
中核派の“ジャンヌ・ダルク”とも言われるニノミヤさん(仮称)の壮絶な半生を取材した
【独占インタビュー】お嬢様学校出身、同性愛、整形400万円…過激デモに出没する中核派“謎の美女”ニノミヤさん(21)が明かす半生「若い女性を虐げる社会を変えるには政治しかない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン