芸能

『A LIFE』好調の木村拓哉 「何を演じてもキムタク」は正論か

医者役初挑戦が話題の木村拓哉

 木村拓哉(44才)が主演を務めていることで話題の『A LIFE~愛しき人~』の初回視聴率が平均14.2%(関東地区)を記録した。彼の連ドラの中では最低の初回視聴率だったことから、「惨敗」と報じるメディアもあるが、昨今の連続ドラマの視聴率の状況から考えれば好スタートを切ったといっていいだろう。注目は、これまで多くの職種を演じてきた木村にとって初挑戦となる医者役だ。最近の木村の演技に変化を感じるというコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが、その演技力についてズバリ解説する。

 * * *
 これまでピアニスト、美容師、パイロット、レーサー、総理大臣、社長……など、さまざまな職業を演じてきた木村さんに対して、徐々に「何を演じてもキムタク」という声があがるようになっていました。これは裏を返せば、「『日本一イケてる男のキムタクが、どんな職業を演じるか?』というコンセプトで注目を集めてきた」ということ。そのため、俳優としての演技よりも、「キムタク」「日本一イケてる男」としての存在感ばかりクローズアップされてきました。

 しかし、一昨年の『アイムホーム』(テレビ朝日系)で、記憶を失う普通のサラリーマンを演じたとき、「何を演じてもキムタク」「日本一イケてる男」からの変化が見られました。目線や表情、話し方や所作などが過去作よりもナチュラルで、「キムタク」や「日本一イケてる男」から、いち俳優への脱皮をはかっているように見えたのです。

『A LIFE』でも、その姿勢は同じ。「通算20種類目の職業」として連ドラ定番の医者役に初挑戦し、「ここまで短いのは初めて」というほど短く切った髪型も、脱皮への意欲に見えます。初回の登場シーンこそ「カッコよく見せすぎでは」と思いましたが、その後はたかぶる気持ちをグッと抑え込むような演技を見せるなど、随所に役作りへの意欲を感じました。

 代役なしの手術シーンを見れば分かるように、役作りに対する木村さんの姿勢は、決して他の俳優に負けることはありません。それだけに問題は、「キムタク」「日本一イケてる男」として見たがる世間の先入観をどう変えていくか?

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