外側から目すらはっきり見えない服装の手術シーンですら、「演技がいかにもキムタクっぽい」と言われてしまうのですから、世間の先入観は相当なもの。SMAPの独立・解散騒動では、“木村さん1人vs他の4人”という図式で見られていましたが、俳優としては“木村さん1人vs世間”という、とてつもない難しさがあるのです。
そんな見えない敵との戦いで重要なのは、いかに人間臭い姿を見せるか。初回では一度手術を失敗して悔しさを噛み締めるシーンがありましたが、今後も悩み、もがき、苦しむ一人の人間としての医者像を見せられれば、おのずと演技の評価も上がるでしょう。
その意味では、何かと比較される『ドクターX』(テレビ朝日系)の大門未知子とは真逆。「手術が大好きで絶対に失敗しない」人間離れした外科医である大門と正反対のキャラクターを貫くことが成功につながる気がします。
また、同年代で映画界のトップを走り続けてきた浅野忠信さんとの共演も、木村さんの転機になる可能性を秘めています。民放の連ドラにほとんど出演せず、一人異質な存在感を醸し出す浅野さんと対峙し続けることで、木村さんを見る世間の先入観が変わるかもしれません。
本来、かつて「二枚目」が代名詞だった三浦友和さんがそうだったように、世間の先入観を変えるためには、ある程度の時間が必要。たとえば、木村さんが何年か俳優業を休んでから復帰したら、「思っていた以上に演技がうまくて驚いた」という声が殺到すると思います。