三浦さんが葛藤の時期を経て、弱さや情けなさ、悪さや怖さなどを演じ分けられるようになったのも、「カッコよさを捨て、中年俳優らしい人間臭さを見せたから」でした。「俳優はこれまで培ってきた強みを捨てて自分をさらけ出したとき、本当の説得力が生まれる」とも言われるだけに、今後は作品選びも重要になるでしょう。
木村さんの演技を疑問視する声をよく聞きますが、過去に山田洋次さん、蜷川幸雄さん、三谷幸喜さんら巨匠から称えられるなど、いわゆるプロからの評価は決して低くありません。ちなみに、木村拓哉擁護派でもなく、芸能界のしがらみが全くない私も、俳優としての資質は高いのではないか、と見ています。
あなたの目には、今の木村拓哉さんがどう見えるのでしょうか? やっぱり「キムタク」「日本一イケてる男」という基準で見るのか。それとも、真摯ないち俳優に見えるのか。ぜひ確かめてほしいと思います。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。