2500万円の価値は?(同番組HPより)


◆鑑定は「死ぬまで勉強です」

 今回、あえて疑問の声を上げた理由を長江氏はこう説明する。

「本来、陶磁器の鑑定は非常に難しく、実物を見ずに映像だけで判断することは軽率の誹りを受けても仕方ない。しかし、あの茶碗はどう見ても偽物です。私が“トラブルは面倒だ”と黙っていたら、曜変天目の再現研究に心血を注いできた父に顔向けできません。だからリスクを背負っても、疑問を投げかけたのです」

 専門家たちの指摘に対して、テレビ東京は書面で回答した。

「鑑定結果は番組独自の見解によるものです。番組の制作過程を含め、この件について特にお答えすることはありません」

 鑑定した中島誠之助氏(古美術鑑定家)を直撃するも、残念ながら、回答は得られなかった。

 こうした鑑定は専門家でしかわからない領域ゆえ、判断は難しい。東洋古美術の老舗・浦上蒼穹堂の店主である浦上満氏が語る。

「中国の陶器は整った形を重視する。加えて色や釉薬、絵付けや彫り具合など10数か所のポイントを正確に見極める必要がある。鑑定は長年の切磋琢磨が必要でプロの目利きでも間違えることがあり、死ぬまで勉強です」

「テレビのバラエティ番組」の枠を超え、全世界にニュースとして配信されてしまった今回の“大発見”騒動を、皆さん、どう鑑定しますか?

※週刊ポスト2017年2月3日号

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