ある日突然、耳が聞こえなくなる「突発性難聴」。統計的には年間3万~4万人が発症するといわれているが、実際にはもっと多いと予測するのは、日本橋大河原クリニックの耳鼻咽喉科専門医・大河原大次さん。
大河原さんによると、毎日3~4人は、突発性難聴の疑いのある初診患者が、訪れているという。
「加齢による難聴は50代以降に見られますが、突発性難聴は20代から始まって、60代くらいまでの人がなりやすい。70才を超えると極端に少なくなり、男女差はありません。
いつ発症したか、場所や時間まではっきり説明できるのが特徴です」
これに加えて30~40代の女性に増えているのが、「低音障害型感音難聴」だ。JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長の石井正則さんは、以下のように語る。
「この難聴患者の約8割が女性。しかも発症後に治療を怠り、おざなりな対応をしていると、そのうちの約8割が再発を繰り返し、さらにそのうちの約2割がメニエール病に移行してしまいます」
音が聞こえるメカニズムは、次のとおり。
耳の外側あたりの耳介で集めた音が耳の穴から外耳道に入り、そこで共鳴して空気の振動となって鼓膜に伝わる。この振動が、中耳の耳小骨で拡大されて内耳に伝わり、内耳の蝸牛で振動を信号に変えて脳へ送り、脳で初めて音として認識されるのだ。
「耳あかのたまりやすさや中耳炎などによる“伝音難聴”は、原因を取り除くと治りますが、内耳のトラブルで起こる“感音難聴”の場合は、原因がはっきりわからないことが多い。
また、まったく聞こえなくなるというより、なんとなく聞こえにくいといった、症状が比較的軽めなので放置されがちなのですが、いつもと違うと感じた時点で、すぐ耳鼻科を受診すれば、聴力も早く回復します」
※女性セブン2017年2月16日号