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【書評】制度を知ろう、老後が不安な人に贈るお金の教科書

【書評】『制度を知って賢く生きる 人生を左右するお金のカベ』北村庄吾/日本経済新聞出版社/1512円

【評者】伊藤和弘(フリーライター)

 最近、「老後破産」という言葉をよく耳にする。コツコツと年金を払い続けていても、まったく安心できない時代になった。

 厚生労働省は会社に40年間勤めた人は月に約17万5000円の年金をもらえると試算している。しかし、総務省の家計調査によると、リタイアした夫婦に必要な生活費は月27万円。厚生年金だけでは全然足りないことになる。

 一方、銀行に預けていてもお金は増えない。現在、メガバンクの定期預金(1年もの)の利息は0.01%。普通預金は0.002%と限りなくゼロに近い。0.002%というと、100万円預けても1年でつく利息はわずか20円、正確には税金を引かれて16円にしかならない。

 こんな時代、安心して老後を迎えるにはどうしたらいいのか? それを指南するのが本書だ。「預金がダメなら投資」と考えがちだが、お金の素人が危険な冒険に挑むよりも、まずは「制度」を理解し、上手に利用することを著者は勧める。

 例えば、「103万円のカベ」という言葉がある。パートなどで年収が103万円を超えた専業主婦は扶養家族と認められない。昨年10月から、新たに「106万円のカベ」というのもできた。社員数が501人以上の会社でパートとして働く場合、「週20時間以上、年収106万円以上」になると健康保険と厚生年金保険に加入させられる。

 厚生年金保険に入るのは一見いいことのようだが、手取り額は大きく減ってしまう。かつては年収106万円なら手取りは1万円程度しか減らなかったのに、健康保険と厚生年金保険に入ると約17万円も引かれてしまう。さらに、年収103万円を超えれば夫がもらう家族手当もカット。給料が上がっても、実際の収入は下がる可能性も大きいのだ。

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