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街中の新聞スタンド スマホの煽りを受けて中国でも衰退

生き残れるか(イラスト:アフロ)

 IT化の波は、伝統的な産業を窮地に立たせる。それは世界中どこにおいても変わりがない。中国の情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所教授の富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 中国社会を襲う急速な変化の最先端は、いまや日本を飛び越えて、アメリカ社会においても最も進んだ地域に匹敵するほどのハイテク化を実現している。

 その象徴とされるのがITの世界だ。スマートフォンのユーザ数が7億8000万人を突破し、アリババ集団などに代表され電子商取引の隆盛がそのことを顕著に示しているといわれるが、いまや中国の都市部では財布を持たずに生活しても困らない生活が定着しつつあるとされ、実際に何もかもスマートフォンで済ませてしまうライフスタイルが浸透してきているという。

 こうした新しい生活スタイルの浸透は、いうまでもなく旧態依然とした産業を見放していくことになる。

 ITの進化と浸透によるシワ寄せが、どの世界に最も深刻な打撃を与えるかという点においては、恐らく世界共通だろう。伝統的なメディア、である。

 今年1月11日付の『北京晨報』は、この問題を一つの視点から伝えているのだが、それは窮地に追いやられる新聞スタンドの実態についてだった。

 中国語の「報刊亭」は、もともと新聞や雑誌を人々に近いところから届ける意味で許可されているものだが、もう何年も前から雑誌や新聞が経営を支える柱ではなくなり、飲み物やちょっとしたお菓子や軽食が売り上げの主流であったのだが、その新聞スタンドでなんと、死者に着せる経帷子を売り始めたと同紙は報じたのである。記事に添えられた写真には、大きく「寿衣(死者に着せる衣服)」、「骨灰盒(骨壺)」と書かれたポスターを貼った新聞スタンドが写っている。

 存在が身近で、かつては携帯電話のプリペイドカードの販売でも重宝した新聞スタンドは、ミニ・コンビニ的な方向に転換するのかと思われたが、もはやそんな可愛い転換では救われないのだろう。

 今回のケースは病院に近いということでそうなったのかもしれないが、中国でもメディアの衰退が如実であることを見事に示している。

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